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少女は青と美味しいものを分かち合う


 最近恐竜王となまえちゃんが一緒に居る事が増えた。確かにミクトランでは青のテスカトリポカと名乗っていたけれど、まさかこうしてシャドウ・ボーダーに現れるとは思っていなかったから本当に驚いたよね……。
 最初顔を合わせたとき、久しぶりだな、と挨拶されたけどすぐにその視線はなまえちゃんに移っちゃって、やっぱり同じテスカトリポカだ〜と苦笑した。なまえちゃんのことが大好きなんだなって一目でわかったから。


「なまえの言う通り、ここの飯めちゃくちゃ美味いよな……」

「ね! 美味しいよね!!」


 二人で仲良くおやつを食べようとしているらしい。基本的に恐竜王が現れた際は食堂に来ているみたいなのだ。好きな人と一緒に美味しいものを食べられるのはとっても嬉しい、とにこにこ笑っていたなまえちゃんはとっても可愛かった。
 黒のテスカトリポカといるときはたまにひやりとすることがあるので、この二人の組み合わせは安心して見ていられる。なんで黒のテスカトリポカの場合だとちょっと怖くなってしまうんだろうね……。
 あ、ちなみに今日のおやつはクリームたっぷりのシュークリームです。私も食べているけどめちゃくちゃ美味しい。きっとあの二人にもご満足いただけることでしょう!
 限られたリソースの中でこんなにも美味しいものを作ってくれるサーヴァントたちには感謝しかない。今まであまり意識したことはなかったんだけど、私たち日本人はかなり食事にはこだわっていると気づいた。いろいろな国のサーヴァントやスタッフたちと接してきて、いや確かに本当にご飯にこだわってるや!と考えを改めたよね。


「そういえば、恐竜王は甘いもの平気?」

「ああ。黒も別に大丈夫だろ」

「え、そうなの? よくオレはいらんってくれるんだけど……」

「それはあれだな。なまえが可愛いからだな」

「そ、そっか〜……。なんか悪いことしちゃったかも……」


 普段のテスカトリポカもちゃんとなまえちゃんのこと可愛がってるんだ……。いやまあ目に入れてもいたくないくらいの感情はあると思っているんだけど、なんというか、囲い込んだり閉じ込めたり、自分の思い通りに誘導している様を見ているから、俄には信じがたいというか……ね……。


「そんだけ黒のに可愛がられてるってコトだよ」

「……うん」


 柔らかく微笑んだなまえちゃんが可愛い。同じ気持ちを恐竜王も抱いたようで口元が緩んでいた。好きな人の可愛い顔ってきゅんってするよね!
 お皿にあるシュークリームを手に取りいよいよ食べようとするなまえちゃんを、恐竜王はしっかりと見つめている。テスカトリポカも恐竜王も、なまえちゃんが美味しそうに食べている様子を見るのが好きらしい。


「いただきまーす! ん〜!! おいひい…………」


 大きく口を開けてシュークリームを頬張ったなまえちゃんは、幸せそうに蕩けた顔を浮かべてもぐもぐとしている。その頬にはクリームがついていて、それを見た恐竜王はけらけら笑いながら顔を寄せた。そして、ぺろりと舌でそのクリームを舐め取っている。


「ついてるぞ」

「ひゃあ!? あ、あり、がとう……」


 頬を染めて照れたようにはにかむなまえちゃんを見て、ちょっと固まった恐竜王。うんうん、破壊力があったよね。無言でもぐもぐとシュークリームを食べて出した恐竜王だけど、なまえちゃんと同じように頬にクリームを付けていた。


「恐竜王もついてる、よ?」

「っ、くそ、可愛い……」


 まさかのなまえちゃんも恐竜王と同じように、頬についているクリームを舐め取ってしまった。真似をしたのだろうけど、恐竜王にとってはかなりの衝撃だろう。人前でこのようなスキンシップをするような子ではないから。
 くう、となまえちゃんの可愛さをかみしめながらシュークリームを食べ終えた恐竜王は、なまえちゃんの手を取り足早に食堂から立ち去ろうとした。


「恐竜王……?」

「なまえが可愛いのが悪いんだからな」


 突然の行動に不思議そうな顔を浮かべたなまえちゃんの唇にちゅうっと吸い付いた恐竜王は、ぐいぐいとその腕を引っ張る。多分部屋で二人きりでいちゃつきたいんだろう。いつものテスカトリポカは人前だろうがなんてあまり気にせずキスもハグもしているのだけど、恐竜王はあんまりそういうことをしたがらない。
 やっぱりこの二人は安心して見ていられるし、穏やかな関係だな〜と、二つ目のシュークリームをもぐもぐしながら、いろんな甘さに頬を緩ませるのだった。




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