日記SS | ナノ

沖土*/後編



「ふ、あ… 沖田…氏… な、何を…あぁ」


後方深くまで指を差し込まれた声は震えていた。
その躯も力無く震える。


畳の上へと押し付けられた身体。
その上に体重を掛けられ躯を触られれば、熱を持った。
そうなればいくら相手の方が身体が小さくとも押し返す事は不可能になるのだ。


「…ん………あ… 沖田氏…な、何とか言っ………ッ…」


こう言う行為に持っていったのは紛れもない総悟。
が、しかし、始まってから何も言わずにただ攻めてくるだけの相手。
聞こえるのは自分の息遣いと恥ずかしい粘りのある水音。
羞恥にただただ顔が色付く。
経験なんて無い。男も女も。
オタクの自分には想像の世界のソレ。でも躯が何か知っている様なコレ。


「…あ、はあ……… 沖田、氏… あ……ふ……」


執拗以上に攻め立てられる後方の奥。そしてたまに思い出した様に入り口にも指を宛てられる。
最初は異物感と圧迫感、そして恐怖感しか無かった身体が今ではおかしい。
自分さえ知りはしない処を相手は知っていて、其処をゆるゆると苛められるのだ。
その動きに躯は痺れを齎す。
でもそれ以上の事はして貰えない。
確実に自己主張しているモノにも触れて貰えない。そして……唇にも。唇にも…?


「あ、あ…ッ おき…た…し」


何度呼んでも無言の相手。
それどころか名前を呼ぶ度に、その表情は歪んでいっている様にさえ見える。
さらさらの茶色の柔らかそうな髪の毛1本1本の間から覗くアーモンド型の瞳が傷付いている。
一体自分が何かしてしまったのだろうか…
気になるのは相手の事ばっかり
今にも泣き出しそうな顔をしている、相手


相手?
相手………?



沖田氏
おき…た……し




………。






「何つー顔してんだよ、総悟」


優しい声がふわりと降り注いで顔を上げた。
眼の前には土方…さん……?


「土方さんですかィ?」

「嗚呼」


そう言って笑う相手に涙が零れそうになった。


「今まで何処に行ってたんでィ」

「悪かったな、総悟」


また名前を呼ばれて、俺は悔しくなった。
結局この人は何処まで俺の事を見透かしているんだろう。
土方さんの手が伸ばされて俺の髪に触れた。偽り無い土方さんの手の温もり。
逢いたかった、人。



でも報復はさせて貰いますぜ。そんな男でさァ、俺は


「何ですかィ?この格好は 素肌にGジャンたァ淫乱ですねィ。これで万事屋の旦那ン所にでも行ってたんですかィ?こんな格好で」

「…………ッ」


ひらりと手を掛け捲ってやると、顔を赤くした。
本当に可愛いお方でさァ、この人は
でもそんな土方さんの態度が俺のS心に火を点けてるって知ってるんですかねィ


「旦那にいかがわしい事して貰えましたかィ?」

「な…馬鹿な事言ってんじゃねぇぞ!そんな事、誰が!てめぇ以外と!…………っ」

「俺以外と?」

「何でもね、えっ」

「言って下せェよ」


顔を近付けて問い詰めてやると小さい声で「お前以外とはする気ねぇから」と言うもんだからますます苛めたくなる。


「でも見て下せェよ、アンタの躯、元気じゃねェですかィ?」

「それはお前がネチネチ触るからだろおがぁぁぁ!」

「そうでしたっけねェ?試してみやしょう」

「何言……!! んんんッ」


静かに自己主張していたソレに触れられて土方さんは躯を強張らさせた。


「土方さん」とそう小さく静かに囁やけば、珍しい事もあるもんで、土方さんからキスを強請られた。
本当に可愛いお人でさァ
そんなに俺とキスがしたかったんですかねィ
首筋に僅かな重み。土方さんが腕を絡ましてきたらしい。
普段は仏頂面な癖して、たまに大胆になるもんだからこっちとしては理性が保たねぇんですよね。


「土方さん…いいですかィ?」


少し唇を離して問えば、土方さんはコクリと頷いた。
土方さんの身体を少し折り畳めば、土方さんは大きく息を吸い込んで、俺の首筋に回した腕に力を入れる。


「息、止めないでくだせェよ?」

「わか、ってる」

「行きますぜ?」


一気に腰を送り込めば、土方さんの唇から熱が零れた。
痛さからのそれでは無い。それ位、何度も躯を重ねた同士だから分かる。


「っ、く…ンッ 総…悟!」

「気持ちいいですかィ?」

「気持ち…いいっ……!」

「俺も土方さんのナカ、気持ちいいですぜィ」

「あ…ああ…!や、…総悟…もっ……」

「いいですぜ、イキなせェよ」


耳元で囁いてやれば土方さんの躯がヒクついた。
2人の躯は駈け登って、一気に熱を吐き出しに掛かった。
2人を邪魔するものは何も無い。
熱と互いの呼吸だけが部屋を占拠していた。


「…アンタは俺だけのものですぜェ。絶対逃がしやせん。好きですぜ…土方さん」


普段、総悟は「好きだ」と土方に言う事は無い。でも確かに「好きだ」と聞こえて、土方は眼許を緩めた。
総悟にも伝えておきたい事が在る。土方はそっと口を広げて言葉を紡いだ。


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最近、沖土大好き過ぎてたまりません。
楽しかった…!
初めてゾロとサンジ以外で裏書いちゃった。あー楽しかったです。ほわん
また沖土話書きたい…
(2008.12.06‐2008.12.10)




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