休憩1
(地の文少なめ会話多め。口調と絡み方の間違い指摘大歓迎。
借りたお子様:林檎ちゃん、姫ちゃん、クレイくん、リリアちゃん、ルカくん)
レティの怒鳴り声覚悟で、腹の傷を軽く押さえながらゆっくり歩いていたら、何故か人影が4つ。
は?増えた?
「…って、何で神無月がいんだよ」
「私も対抗戦なのよ。でも始まるまで少し時間あるし他のチームを偵察していたら…情けない姿を晒してる人がいて、どんな顔しているか気になってつい、ね」
「どうやったらあんな無様に負けてオメオメと戻ってこれるのか、私には分かりませんわ」
「普段あんなに意気がってるくせに、ねえレティ?」
「全く、林檎の言う通りですわ!もっと精進してはどうですの!!」
「うっせぇ!!!!なんでお前らこんなときだけ息ぴったりなんだよふざけんな!!」
「はんっ、あれほど言ったのに負けて返ってくる人に、ふざけるななど言われたくありませんわね!」
「そもそも未完成の物を使うなんて……未熟過ぎて何も言えないわ」
「っだあああ!!!さっきから好き勝手に言いやがって!!テメェ等その台詞神埼に勝ってから言いやがれ!あいつ馬鹿みてぇに強ぇんだぞ!!!」
「な……那智…!あまり、大声を出すと…傷が……!」
フィオナに言われて思い出し、改めて傷が痛みだした。
うっわ服に血が染みてるじゃねーか…!これ気に入ってたのによ…!
「くっそ神埼の奴…!次当たったら絶対ぇぶちのめしてやる!!」
「負け犬の遠吠え程無様に聞こえるものはないわね…」
「本当ですわ。また返り討ちで終わるの目に見えていますもの」
「うるっせぇつってんだろ!!」
「だああ!どっちもうっせぇよ!!神無月はそろそろ自分のフィールドに行け!!」
「えぇ……まだ10分も経って無いし、」
「……あ!いたいた!!林檎ちゃーんっ!」
少し遠くの方から聞こえてきた声に全員がそっちを向く。
息を小刻みにしながら、神無月に向かって走ってきたのは木ノ瀬で、淳史の顔を見るなりびくりと体を縮めていた。
毎度ながらこういうタイプにはドンマイだな淳史。
「姫?どうしたの?」
「…あっ、うん。あのね、そろそろあたし達の対抗戦始まるから呼びにきたの」
「え?早くないかしら?」
「それがね…、今対抗戦してるチームが卒業資格持ってるチームと一年目のチームなんだって」
「うっわ…えげつねぇな……」
「ほらそういうことらしいからさっさと帰れ神無月」
「言われなくても行くわよ。
じゃあねレティ、フィオナ。そこのちっちゃい男のカバー大変だろうけど頑張ってね」
「もちろんですわ」
「り、林檎も…頑張れ…!」
「おいちょっとまて誰がちっちぇって!?」
「あーもー、お前は一々反応すんなよ」
さっさと医務室に行け、と淳史に頭を殴られた。くっそ、怪我人に対してもっと丁重に扱えっての。
ずっと脈打ってる腹を、同じく脈打ってる腕で抑えながらその場を離れようとした。足を前に進ませた直後、腹部に衝撃が。
「きゃっ!?」
「ってぇ!」
どすん、と聞こえたのは今の衝撃の元が尻餅ついた音か。下を見てみれば白髪でおさげをした子供だった。
「す、すみません!よそ見をしていてっ!あの、お怪我、は……血、血が……!!」
「(くっそ…!超いてぇけど子供に怒鳴れねぇ…っ!)…き、きにすんな。さっきの試合のだから…!」
「おい那智、何騒いで……リリア?」
「あ、アツシさん…!?」
「リリア、大丈夫か?」
「おちびさんってば、まぁたドジしちゃったの?」
「…クレイに、ルカさん?」
続々と出てきた外人達に向かって名前を呼び出す俺のチームメイトたち。ああ、とか挨拶してるし淳史は俺にぶつかって転んだ子供を立たせてホコリ叩いてなんか兄妹みたいにほのぼのしだすしなんだこの疎外感。さっさと医務室行ってやる。
「……那智、私が医務室に行って医療品を貰ってきますわ」
「は?なんだよいきなり」
「…フィオナが楽しくしている友人たちとの雰囲気を悪くしたくありませんの」
「はぁ?」
ちらり、とレティが向けた視線と同じ方を見てみる。その先にはさっき来た金髪の方を見ていて、一瞬だったけどそいつもレティを睨んでた。ああ、なるほど。
「お貴族サマは大変だな」
「……世の中の嫌われ役なのはもう分かってますわ。お気になさらず」
「空気読むのはいいけど早く帰ってこいよ。これ結構いてぇんだからな」
聞いてるのか聞いてないのか、すたすたとその場を去っていくレティ。全く、理由があるにせよ金持ちと貴族嫌いってのは多くてめんどくせぇなぁ。
痛みを誤魔化すためにふぅと息を吐く。どっちかの会話にでも混ざって気を紛らわせるか。
「……あれ、金髪は?」
「ルカのことか?」
「ルカさん、なら……向こうのチームを見た、途端……走って行ったが…」
…………レティ行った意味ねぇじゃねぇか。
(休憩続くよ!)