「今度の新聞で、七不思議の特集を組みましょう」

部長の一言で俺たち……といっても部長と俺の二人しか部員はいないのだが……ともかく新聞部は次回の新聞にて七不思議の特集をすることとなった。
長期休暇中に古くなった旧校舎を壊し、新しく校舎か何かを建てるらしいのだが、それに便乗した我が校のオカルト研究部が『七不思議を語る会』を企画したという。
新聞部はその会合の様子を記事にして話題を得ようという魂胆らしい。
まぁ確かに、珍し物好きの部長がそういった物事に興味を持つのも無理からぬ事ではあるのだが…
それにしても普段からさほどやる気を出していない俺をその担当にするのは問題があるんじゃあないだろうか。

部長本人も当初はその会合に参加する予定だったのだが、先ほど急用ができて来られないという連絡を受けた。今日の取材は俺一人で行わなくてはいけない……取材だけならまだしも、俺は今日の会合の進行役を務めることになっている。
議長みたいな行動は苦手なので正直気が引けるのだが、それがオカ研側から出された取材の条件だと言うのだから仕方ない。

「七不思議を語る会」はオカルト研究部の部員や卒業生を七人集め、彼等に一つずつ怖い話を語ってもらう…という形式で行われる。
そこにどんな七人が集められているのかは逢ってみるまでわからないという訳だ……
俺自身は怖い話になんて興味はないのだが……

廊下の窓から外を見やると、重苦しい灰色の雲が空を覆い尽くして今にも大粒の雨を零そうとしている。開け放たれた窓からは夏らしい湿り気を帯びた風が入り込んできて肌をなでる、正直気分が悪い。
こんな日に怪談話なんて聞く気にもなれない、このまま家に帰ってしまおうかとすら思う。

それでも帰りたいという意思に反して俺の足はオカルト研究部の部室へ向かっている。
これが怖い物見たさ……と言うことだろうか。

オカルト研究部の扉は黒い布で目張りされており中の様子をうかがえないようになっている。
意を決し、俺が扉を開くと十二個の瞳が一斉に俺の方を向いた。
ぞくりと、ひるんでしまいそうな感覚を殺し、俺は室内に足を踏み入れる。
部屋の中央に置かれた丸いテーブルを囲むように様々な椅子が置かれており、六人の男女が静かに座っていた。
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