名前の話(会話文)


(閉鎖された屋上に向かう途中の階段あたりに座ってるイメージ。梨本と神谷が並んで座っている。夏。暑そうに団扇で扇いでたりなんだり。)

「先輩」
「?なぁに??」
「先輩の名前って変わってますよね」
「そう?晴樹って名前の人そこそこいない?」
「いや、俺は見たことないっすわ。ってか先輩は苗字も名前も旧字体つかってるじゃないすか。」
「ああ、そうだね」
「旧字体で書く人はそんな居ないと思いますよ、俺。」
「そっかぁ…」

(神無が来る)

「あ、神無先輩。あの。神谷先輩の名前って珍しくないですか?」
「んー…俺は結構見慣れてるからなんとも思わんけど…あんまし居ないかんじではあるよな。」
「ですよね…」
「そうそう、旧字使ってるから書類とかだとハルの名前は大体間違ってるんだよな。」
「へぇ」
「苗字と名前の両方があってるのはなかなか珍しいんだよ、めったにない。いっつも俺が先生に間違ってまーすって言っt」

(神無に肘鉄いれる神谷)

「うるさい。なに幼なじみぶってんだよ梨本くんに話しかけんな消えろ」
「ちょっとお前いつも以上に俺に厳しくないか?」
「知らないよ気のせいじゃないの?普段と同じだって」
「ちょっと梨本、酷いと思わないかこの仕打ち」
「だから梨本くんに話しかけんなって」
「神谷先輩……(呆)……あ、そ、そうだ!」
「ん?どしたの?」
「先輩達は、あの、名前の由来とかありますか」←ようやく本題
「由来?って…なに、こういう風に育ってほしいから〜とかそういうやつ?」
「はい。あります?」
「ある…には、あるよ。面白くないけど、いい?」

(なぜか照れている)

「面白くない…別にかまいませんけど」
「あ、俺も聞きたいそれ。」

(そこに宮田も来る)

「…なんのお話してるんですか?」
「先輩の名前って変わってるよねー由来とかあるんすかーっていう話だけど…なおはどしたん」
「私はー…あの、神谷先輩」
「なに?」
「部長が、今日はお休みの人が多いから部活も休みにします。って」
「うわなにそれ適当だね…」
「うちの部ほどじゃないよなー…(←休みたい人多そうだから休みとか平気でやる)」
「そっすねー…(←それに便乗する)」
「まぁいいや」
「先輩はこの後どうします…このまま帰るんですか?」
「んー…ちょっと駄弁ってそれから帰るーかな」
「そうですか…」
「あ、じゃあさ、なおも聞かない?先輩の名前の由来」
「……じゃあそうします」

(階段の下の方・神無の横に座る)

「で、由来とは」
「なんでそう大仰なかんじになってんの…、恥ずかしくなってきたんだけど」
「いいから早く言えよ」
「うるさい急かすな」
「…先輩…」
「……えっとね…あの、あーダメだ恥ずかしい」

(うずくまって話始める)

「…晴れ間のように明るく、陽の下で育つ木のようにすくすく育って欲しいわって…だから…晴樹…(めっちゃ顔赤い)」
「なんか…お前の父さんと母さん、やっぱいい人だな…」
「愛されてる感やばいっすね…」
「どうして旧字なんですか?」
「…わかんない。おばあちゃんが決めたから。お母さんはおしゃれで良いでしょっていってくるけど………はい終わり!!もう喋ったよ!(まだ恥ずかしいらしい)」
「なんか思ったよりいい話だったな」
「なにそれ俺の名前バカにしてんの?」
「なにをどうとったらそういう話になるんだよ、お前悪意持ちすぎだろ」
「神無さんがそういう風に思われるようなことをしているからそう思われるんじゃないんですか?」
「み、宮田さんまで…」
「……お前の名前の由来も話せよ…」
「なにこれ由来暴露大会なの!?」
「なんかそんな空気っすねー」
「………」
「なおちゃんどうしたの」
「いえ…あの……」
「??」

(神谷にだけ小声で伝える→爆笑)

「ちょ、おま、なんでそんな笑ってんだよ!なに?何の話なの!?」
「…あの…でもその……」
「いいよ言ってやんなよー(爆笑中)」
「あの…」
「な、何…?」
「まことに失礼だと存じ上げてはいるのですが…その…」
「…?」
「神無さんのお名前は…なんとおっしゃったのでしょうか…と…」
「………」

(梨本と神谷は笑ってる。なんか気まずい雰囲気)

「…すみません」
「いや…俺も教えた記憶ないからあれなんだけど…わりと…へこむ」
「あの、神谷先輩…神無先輩かわいそうに見えてきたんすけど…」
「いい気味だよねー」
「先輩なんでそんな神無先輩にだけ冷たいんすか?」
「んーなんでだろー。話すと長くなっちゃうからなー…」
(神無と宮田の会話が終わったらしい)

「それで…神無さんのお名前の由来は…?」
「…俺の名前に由来はありません。」

「「「え!?」」」

「なんで三人して残念そうなんだよ。」
「だって、そんなにためるからきっとたいそうな由来とかきっかけとかがあるんだろうと思ってたんだよ。ねぇ梨本君」
「は、はい。」
「私もそうでした。」
「なんか俺のじいさんが付けたんだけどさ。特に意味とかはないみたいなんだよな。」
「…竣介なんてたいそうな名前してるくせに」
「いわれのない文句を言うなよハル」
「言ってないよ気のせいじゃないの?」
「あーもう…梨本は?」
「へ!?なにがっすか」
「名前だよ。」
「あ、俺の名前っすか…」
「そうそう。梨本くんは、どうして幹隆っていうの?」

「えーっとですねー、まっすぐ芯の通った子になれということで幹。隆の字はお父さんから貰いましたねー」
「普通だな。」
「ですね。」
「…じゃあなんなら納得するんですか…」
「いやもっと奇抜な由来があってしかるべきじゃねぇかな−って…」
「奇抜って…一般家庭になにを望んでるんすか神無先輩は。」
「そうだよ何の理由もなく名付けられた男が後輩になに望んでんのって話だよね」
「ハルお前俺の母さんdisってんじゃねえよ。」
「お前の母さんなんかdisんねえよ。お前だけだ。」

「…宮田さんは?」
「そういえばまだ聞いてないね」
「…なおの名前の由来か…」
「一応皆さんの由来も聞いたので…お話した方がいいですか?」
「…一番気になるかもしれない。聞きたい。」
「ひらがなだしな…」
「じゃ、じゃあ…あの、私の名前を漢字で書くと"直"って書くんですけど。」
「うん」
「だから、まっすぐな子、素直な子になりなさい。って付けたとお母さんが」
「名前の通りに育ってるねーなおちゃんは」
「そ、そうですかね?」
「まぁ確かに、由来とか理由とかよりも名前負けしてないかって言うのの方が重要な問題っすよね…」
「…だな…」

「正直そんな上手くいかないよね世の中…」
「そっすねー…」
「まぁでも、そう名付けた親自身もその通り育つなんて露も考えてないと思いますが。」
「それもそうなんだよな…」
「シビアなこと言うね、なおちゃん」
「そうですか?そんなにシビアですかね?」
「うん結構。」
「言ってるのは事実なんでしょうけどねー………あーやべ、お腹空いた」
「そろそろ帰る?」
「そうすっか。けっこう長話しちゃったなー…腰痛えわ…」
「あ、俺アイスの割引券持ってた!梨本くん使う!?」
「え、いいんすか?じゃあありがたく…」
「んじゃ、皆でアイス食って帰ろうぜ」
「そうですねー…」
「あ、俺教室に荷物おきっぱかもしれない!!とってこなきゃ!」


(梨本が階段を駆け降りていく。ほか3人も階段を降りていく)





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