グリード
※Fate/Zero
※綺礼妹、代行者

記憶が定かではない。全身が快感の渦に飲み込まれていくその中で、微かに煌びやかな色が見え隠れするのだけはしっかりと覚えている。乱暴に出し入れされる肉の熱さにずっと喘いでいたような気がする。諭すように耳元で何か言っていたようだけれども、ほとんど覚えていない。覚えているのは四肢の末端まで支配した快感だけだった。

子宮が疼くというのはああいう感覚なのだろうか。ひたすらに腹が熱く穿たれる毎に喜悦の声をあげて「もっと欲しい」と懇願してしまうほどのものだった。嵐のような行為が過ぎ去ったあとの体は重たかった。だがその気だるい体はシーツに包まれて、温かい。そしてその心地良いまどろみに波紋を広げたのは他でもない、つい先ほどまで名前を抱いていた男だ。

「良い乱れっぷりであったぞ、名前」

ぼやける視界に反して、その聴覚はいつも以上に鋭敏だった。

「いつも畏まっている様子から、褥でこのように乱れようとは誰も思うまい。お前の淫らな様子はなかなかどうしてそそる…」

ギルガメッシュは先ほどまで漂わせていた行為の気配など一切感じさせぬ佇まいでもって名前の傍に膝を立てて座っていた。ベッドの上でシーツに包まってぐったりと脱力している名前をただ見下ろしている。

「淫楽を知ってどうだ。己の体がまだ忌々しいか?」

愉悦というものをまだ分かっていない、とギルガメッシュは言って名前を抱いた。そして快楽の奔流に理性を押し流されて残ったのは“欲しい”という本能だけだった。それをなんとなく理解してはいたものの、未だに己の体を忌々しいものとして認識している名前には“己の体を忌々しく感じるか”、“否か”の判別が難しかった。

「わかりません…ただ」

王様に抱かれることはとても心地良かったです、と口にするとギルガメッシュは満足げににやりと笑う。そしてうっとりとするような動きで名前の黒髪を梳きながら、白い肌を指でなぞる。その僅かな接触にも反応する名前はシーツの中から這い出てベッドの上で威高に振る舞うギルガメッシュに求愛した。

「王様、お願いです。もう一度抱いてください」

裸のままに擦り寄ってくる名前を一瞥し、その顔につい、と手を宛がう。それにすら反応すし、とろりとした恍惚の表情を浮かべた。

「―あっ!?」

不意を突くようになんの前触れもなく、陰部を撫でられて名前はビクリと腰を揺らめかす。ギルガメッシュがベッドの上に長々と投げ出していた足の先が陰部を器用に撫でているのだ。爪先が陰部の入り口を弄る度にじゅぷり、と溢れる。

「もう濡れているではないか?よほど我慢ならぬようだな?」

内腿を伝う愛液に目を遣ってくつくつと堪えきれない笑い声を上げるギルガメッシュの目は先よりずっと欲情に爛れている。血の色のように鮮やかで煌びやかな赤は、抱き殺さんばかりの空気を醸し出している。名前はそれに臆することなく訴える。

「だって、王様…体がとても疼くのです… あん、」

「淫らな狗のようだな」

淫らでも狗のようでも構いません、抱き殺されることも厭いませぬ、と声に出さないまま半勃ちの肉を口に食んだ。
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