最近、隣人が可愛く見える

アトラと同じようにCGS古参の連中と顔馴染み。昔っからの仲だからナマエが女だということを「把握」しちゃいけど「理解」は出来ていなかったらしい。歳星で女を知った後(凄くいい匂いがしたしどこもかしこも柔らかくてどう触っていいのか分からなかったけど、最終的には気持ち良かった)、間近にいたナマエが女であると、こいつはそういう行為が可能な対象であると今まで緩慢にしか把握していなかったその事実をある時に唐突ながら理解した。

女なら誰でもいいってわけじゃねえぞ。誰でも構わないなんてこれっぽっちも思ってもねえし考えてもいねえからな。そこまで下卑てねえし飢えてもない。タカキたちに混じってモビルワーカーを整備するナマエの姿を遠目に見ながら唸る。

「出るところがガッツリ出てるわけでも、とびきり美人ってわけでもねえのに」

なんでこんなに気になっちまうかな。タービンズには女が溢れるほどいるけど、イサリビには数えるほどしか女はいない。分母が少ないから選り取り見取りってわけにはいかねぇが大人の女性もいればお嬢様もいる。それなのにどこにいても、真っ先に意識したり目で動きを追ってしまう先にいるのはここ最近ずっとナマエだ。

「あ、ユージン」

「!」

「モビルワーカーと阿頼耶識のリンクを調整したいって雪之丞さんが言ってたんだけど、いま大丈夫?」

物思いに耽る間に、腕を伸ばせば触れられる距離にまで近づいてきていたナマエがいた。あるはずもないのに、考えていたことを悟られまいと平常を装って二つ返事をした。

「あ、ああ。もちろんだぜ」

「良かった、シノも昭弘もなかなか捕まらなくて。凄く助かる。ありがとう」

サイズが大きめのジャケットから伸びる白い腕。だぼだぼのズボン越しになんとなく分かる腰の細さ。触ったことはないけど多分柔らかい髪。猫みたいにクリクリとした目。柔和な表情と明るい笑顔。あいつ、あんな風に笑うんだっけ。同い年だし体つきも貧相だろうし小さなことで一喜一憂してて大人の魅力なんかないし、お嬢さんほど目鼻立ちが上品ってわけでもない。それなのにどうしたもんか。ナマエが気になって、調子が狂う。


20160430
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