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※腹黒彼女
Q.花宮は何が欲しいと思いますか?
山崎は、きょとんとしてこっちを見上げた。
「え、俺に聞くの?」
「別に聞きたくて聞いてる訳じゃないから。仕方なく、ってことを忘れんな」
「辛口というか辛辣だよなお前…上から目線っつーか…」
「少なくともアンタの前じゃこれが普通でしょ」
「言いたくないけど…最近の掛川、花宮と似てきてるよな」
「じゃあ言うなよ。蹴るぞ」
「すんませんでした」
床を足で踏みつけて派手な音を出すと「やべえマジ怖ぇよ」と怯える。本当に蹴ろうなんてこれっぽっちも考えてないけどね。威嚇だからな。
「…で、なんだっけ」
「花宮が欲しがりそうな物を教えて」
「欲しがりそうなものなあ…」
「若しくは、好きそうなもの」
私よりもこいつ(やバスケ部のメンバー)の方が花宮の嗜好を深く知っているだろう。山崎はしばらくうーんと唸って黙り込んでいたけど、顔を上げた。
「えー…チョコ?カカオ100%のやつあげれば良いんじゃね?いつも食ってるだろ」
そんなこと言われなくても知ってるけど。いつも食ってるんだから尚更だろうに。常備食をくれてやって何になる。なんていうか、こいつ、抜けてるのかな。それとも本物の馬鹿なのかな。
「山崎ってさ…本当使えないよね」
「酷っ!折角考えてやったのにそれはねえだろ!」
「はいはい、どうもどうも」
「それが人に礼を言う態度かよ!」
「素晴らしい意見を拝聴出来ました。参考にさせて頂きます。心より感謝申し上げます。これで満足か」
「掛川、てめ!」
「時は金なりとはまさしくこのことだわ。溝に金を捨てた代償はでかいな」
「おいこらあ!」
花宮の誕生日まであと四日
「…俺にもなんかくれよ」