イケナイコト
※高尾の双子姉
年頃の男女が一つ屋根の下にいたら、間違いの一つや二つは起こる。というか、一つや二つじゃ済まないような間違いを犯しているのは、確信している。
「無理、眠い。疲れてるから駄目」
「一回だけ」
「一回じゃ済まないじゃん。古文の課題もやらなきゃいけなんだから邪魔しないで」
「課題だったら俺もあるし」
「課題やれ。誘うな」
晩飯も食い終わってリビングにいる悠を見たらなんか無性に、触りたくなった。くだらないバラエティ番組を横目に黙々と課題に取り込んでいる悠の背後にそっと回って、項にキスをした。
「薄着でノーブラとか誘ってるのはそっちだろ」
「ブラしてると暑いんだっつの」
くっつくな、と邪険にする言葉を無視して膨らみに手を伸ばす。
「相変らず掌サイズだな」
「うるっさい。文句言うなら触るな」
「文句なんて言ってないけど」
捕まえてしまえばこっちのもんだ。体格差があるのを良いことに、床に悠を押し倒して馬乗りになる。逃げようったってそうはいかない。シャツの裾から手を差し入れて、肌に直接触る。柔らかかった。
「和成、いい加減にして…」
「んな可愛い声出されたら止めらんないっての」
「や、 あ」
少し力を入れるだけでふにゃりと形を変える膨らみに、頭がクラクラしてくる。捲り上げたシャツから覗く小振りな胸の頂を指先で弄ってやると、顔を真っ赤にしながら悠はこっちを睨み上げる。そういう態度って逆効果なんだけどな。もっと苛めてやりたくなっちゃうってのが解らないだろうか。
「疲れてんならあんまり抵抗すんなって」
「抵抗しなかったら、余計に 疲れる ん、…あっ」
「とか言いながら濡れてるし…」
下着の隙間から指を滑り込ませたら、そこはぐっしょりと濡れていた。ビクリと肩を震わせた後、様子を伺うようにこっちを盗み見る。あ、そろそろか。
「ん?何?」
「何、じゃないでしょ」
少し上体を起こして俺にしがみ付くのはやる気になったということ。嫌だ嫌だと拒絶しておきながらスイッチが入るとこの甘えよう。扱いがちょっと面倒だったりするけどこうなってしまえばこっちのもんだ。
「課題どうすんの?」
「後で、やる…」
「ふーん」
仕返しにつれない態度を取ってやると、悠は急に積極的になる。後頭部をしっかり掴まれたかと思ったら、噛み付くようなキス。互いにその気になった訳だから遠慮とか容赦とか、一切しない。
「和成。明かり、消して」
「はいはい」
手探りで机の上にあるリモコンを探し当てて、照明を消してもう一度、悠を床に押し倒した。薄明るいリビングの中、俺の下で双子の姉は何度もイッた。
イケナイコト
(頭じゃ解ってても止められない)
訂正:20121117
初出:20120731