喋りたがりな猫
※アンケコメ:宮地でエロ
※同級生で彼女


また始まった。

「今日、友達がさ」

「ああ」

「身長が170越えてる人の視界ってどんな風なんだろうね。きっと普通のサイズの人間じゃ見えないようなもん見てるよね、とか意味分かんないこと言ってきてさ」

「おう」

「どういうことだよって聞き流してたんだけど、その考え方だとバスケ部って人間じゃない奴ばっかになるよね」

「そうだな」

「大坪くんは198でしょ、木村くんは187、宮地は191、一年生の緑間くんは195でその相棒の高尾くんは176」

「何でそこまで一寸違わず覚えてんだよ」

「何でだろうね」

コイツの言うことはいつも突拍子もない。ヤってる最中だろうがお構いなく、全く関連性のないことをふと思い出してはそれを延々と話し続ける。そのせいで、どうも間抜けた空気になっちまう。

「お前も170越えてるから人間じゃねえな」

「そういうことになるね」

類は友を呼ぶというやつだ。不思議なことを考える奴の周りには、思考が似ている奴が集まるもの。言ってることやってることの意図が上手く読み取れないのは日常茶飯事。現に、今まさにそういう状態だ。

「つか世の中に170越えてる人がどれだけいると思う?世界中が人外で溢れ返るって」

「あーそうだな、うん」

この問答はまだ続くのか、とやりとりが面倒くさく感じて適当に返事をするとそれが気になった悠は不満げに声を出す。

「ねえ宮地、聞いてるー?」

「聞いてるー?って言うお前はこの状況分かってる?」

「え、分かってるよ?今更なに言ってるの」

「俺がおかしいこと聞いてる風な言い方すんな」

中途半端に脱げたシャツと外れかかったブラ、片方だけずり下がってる紺ソックスに捲くれたスカートに取り払われたショーツ。思いっきりその最中なのにいきなり関係ないことを喋り出したのはお前の方だぞ。

「悠は空気読まないよな」

「そんなことないって」

「流れをぶった切るっつーか台無しにするっつーか」

「そこまで?」

気分次第で積極的になったり、かと思えば彼氏を放り出して他のことに熱中したりマイペースを体で表現しているような奴だ。自由気ままで他人のことにとやかく干渉しない様は猫みたいだな。

「途中までは大人しくしてたのに途端にこれだもんな」

「なんかごめんね」

「いや別に謝って欲しい訳じゃ」

「やっぱ宮地は背デカイなーって思ってたらふと思い出して、なんか話したくてしょうがなくてつい」

「他のこと考える余裕があったってことか」

「ひょっ!」

腰を押し上げると間抜けな悲鳴を出して悠は目を瞑る。さっきまでのへらへらした表情とは一転して、苦しげに眉を寄せて情の色を濃くするそれにムラッとする。呼吸をする度に上下する小さな胸の天辺が淡い桃色で、舐めたら凄く柔らかくて甘そうだ。

「や、 みや ん 宮地…」

「喋るか喘ぐかどっちかにしろ」

膝頭を持って左右に割ると、恥ずかしそうにスカートでそこを隠そうとする。逆にエロいんだけどな、それ。

「宮地の、エッチ」

「うっせ」

「で、さっきの 続き、だけど…」

「あーもう、それは後で聞くから」

「ひ、っ」

口を開けばそればっかなのかお前は。ちょっとは大人しくしてる時間を多くしろっての。だからしばらくはこっちのペースに付き合って貰うことにする。



喋りたがりな猫
(振り回されてばっかだな、俺は)


訂正:2012112
初出:20121003
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