すべからく、されるがままに
※陽泉マネージャー(三年)で彼女
※ただヤッてるだけ


半脱ぎの制服の隙間から背中に手を回されて、引き寄せられた。敦の大きな胸板に飛び込むと、目の前に紫色の髪がちらついた。あまりに身長差がありすぎて、膝の上にいるにも関わらず私は相変わらず敦を見上げるばかりだ。

「っい  あ、」

違和感を覚え忙しなく肩を叩いて、行為に夢中になっている敦を呼び戻す。

「あつ……っ敦、敦。お願いストップ…」

「またあ?」

制止の声に間延びした返事をする敦は、長く垂らした前髪の隙間からこちらを覗き込んでいる。

「今日二回目じゃん」

「痛くなっちゃうから、待って?ちょっとだけ…っ」

「んー、別に良いけど…」

体の大きさに比例しているそれを受け止めるには骨が折れる。いつも途中で動きを止めないと苦しくて痛くなってしまう。敦のペースに私の体が追いつかず最後まで保たないのだ。行為を中断される度に敦は不服そうに頬を膨らますけど、それについて文句は言わない。お腹を擦りながら落ち着くのを待ってくれる。敦は優しい。

「悠ちん、大丈夫?」

「ん、ありがとう」

だいぶ落ち着いてきた頃合、鎖骨辺りに歯を立ててきた。敦にはやたらと噛む癖がある。甘噛みだから痛さはほとんどないしくすぐったくて仕方ないんだけど、背丈のある敦がじゃれつくのを見られるから新鮮だ。柔らかい唇と硬い歯が同時に肌を掠める奇妙な感覚にふふ、と声が漏れた。でも気まぐれに歯型をつけてくる場所が制服から見えそうなところでヒヤヒヤしたりする。変なところにつけないでね、とぼんやり思っていると敦に名前を呼ばれてふと我に返った。

「ねえ悠ちん」

「何?」

「これってゆっくり動けば痛くないの?」

のそりとゆるやかに押し付けられて腰が撓った。ちょっと待ってって言ったのに。硬いのがお腹の中で動くのを感じた。

「それはそれで辛かったりするんだけどね」

「は?」

激しいのもそりゃ堪えるけど、ゆっくりされるのも大概辛い。だいぶ前になるけどゆっくりされたら感じすぎて痙攣起こしたのを忘れちゃったかな。痙攣って言ってもそんなに大事になったわけじゃないけど。

「良いよ、敦の好きに動いて」

「そしたらまた痛いって言うよ、悠ちんは」

「でも」

「痛くなるって分かってるのに、好き勝手やるほど馬鹿じゃねえし」

無邪気で、それでいて残酷で。子供っぽいところがあるのに、敦はどうしてこうも目敏いんだろう。隠してることは案外筒抜けなんだなあ、と観念して大人しく白状した。

「…今日は、ゆっくりの方が良いかも。ちょっと不安だから」

「悠ちんが言うなら、そうする」

「っ、―あ あつし っ」

私の手首くらいはありそうな敦のそれが出入りし始める。手首はちょっと大きすぎたかも知れない。でも比喩として相応しいのは多分それくらいのものだと、思う。上下の動きに体がいちいち反応してしまって、体が震える。関節が軋む。奥まで隙間なく満たされる。敦は年下だけど、完璧に体は男のそれだった。これで高校一年生だなんて思えない。節くれだった指に太い上腕二頭筋、厚い肩幅。まだ成長途中だったらどうしようなんて考えながら、敦の着ているシャツを握り締めてだらしない声で啼いた。

「は ぁ」

「やぁ…っだめ きつ…っ」

ゆらゆらと揺すられるうちに体が熱くなっていく。腰の辺りから徐々に広がっていく熱が神経の奥の方にまで侵入してきて、頭の芯がぼうっとしてくるのがなんとなく分かった。視界が霞んだ。

「きつい、けど …痛くないっしょ?」

「けど、 ひ、ぁ、あっあ   っ!」

動きに合わせて、出てはいけないものが出てしまった。無色無臭のそれで制服が濡れてる。突然のことに驚いた敦はきょとんと私を見下ろしている。私の腰に手を当てたまま硬直して状況を理解しようと必死のようだった。

「悠ちん、何か出たけど」

「ご、ごめ …」

「びしょびしょ」

「…い、言わなくて良いのそういうことは」

「制服濡れちった」

「ごめんね、ちゃんと拭くから。だから言わないで…っ」

「よくわかんないけど面白いね」

「へ」

「もっかいしても良い?」

がぶりと首筋に噛み付いてまた律動を開始した。やっぱり敦は無邪気で残酷だ。


すべからく、されるがままに
(優しくも惨たらしく愛された)


訂正:20121203
初出:20121021
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