嫌よ嫌よもなんとやら
※アンケコメ:青峰でエロ
※巨乳夢主


好きでこんなに大きくなったんじゃない。この大きな胸が邪魔で仕方なかった。小学校の高学年から突然膨らみ始めたそれのせいで思春期特有の男子の視線に悩まされて、着る洋服にも苦労しているのに(可愛くプリントされた柄が横に伸びて不細工になってしまう)、人の気も知らないで育つ胸が憎たらしかった。自分の体で一番嫌いなところはここだ、間違いなく。さつきちゃんの言う「男の子って単純よねー」という言葉はまさしく的を射ているし、何より胸が大きくても堂々としている彼女はカッコイイと思う。中学時代、男子に声をかけられることがあったけど…まあ目当ては予想がつく。視線が胸元に集中してたから。

「う」

高校に進学したら、みんなそれなりに落ち着いているだろうし胸で悩むことが減れば良いな、と思ったけどその仄かな願望は目の前にいる同い年の男の子に容易く砕かれた。

「おい」

彼は、私がコンプレックスだと感じているそれに、異様に執着している。

「悠、おい」

傍若無人で俺様で、私の意思を汲んでくれることなんて数少ない。

「な、何…大輝くん」

今だって、私の胸で、好き勝手して遊んでいる。

「嫌そうな顔してんじゃねーよ」

「だ、だって嫌なものは嫌だし…無茶言われても困る…っ」

私はボタンを外して下着をズラして、胸を突き出している。まるでグラビアアイドルがカメラに向かってポーズをとっているみたいにこれでもか!と強調して。その谷間に屹立した大輝くんのそれを突き立てられて、彼の良いように胸を使われてる。抵抗すると後が怖いから、大人しく腕で胸を寄せて谷間が出来るようにしているけど、心底この行為が早く終わるのを祈るばかりだ。ああ、あの、あれだよね、こんなのしてて気持ち良いのかな…。理解に苦しむなぁ…。眼下、谷間の奥の方でゆさゆさと動くそれから背け気味だった視線を彼の気配を窺いながら正面に移す。

「はぁ…」

決して口には出さないけど、人相が良い方とは言えない大輝くん。彼の眉間の皺がいつもの倍くらいは深くなって目を細めている。自分勝手でワガママな彼ではなくて、なんていうか、獲物を食べる前の獣みたいな、雰囲気だと思った。テレビのワイドショーでたまに見る、アフリカのサバンナで肉食獣が草食獣を食べる前の。ということは、私は捕食される側になっている。どうしよう。どうやって逃げたら良いんだろう。世界が引っくり返ったって私が大輝くんを襲うなんて有り得ないし(そもそも出来る自信がこれっぽっちも、小指の先ほどもない)背筋が寒くなった。このままだと食べられちゃう。

「 、」

「や、あ…」

大輝くん、呼吸が浅くてちょっとだけ苦しそう。慣性に合わせて軽く揺すられ、赤黒い先端が出たり隠れたりする光景から目が離せなくなっていた。谷間を薄っすらと糸が引く。や、やだ。大輝くんのがくっついてる…!

「…嫌な癖にガン見してんじゃねーか」

「うっ!」

図星だ。痛いところをつかれた。そうだ。嫌なはずなのに、どういうわけか目が離せない。何で、何でだろう。挙動不審になって慌てふためいてる私を見た大輝くんはいたずらっ子のように目を少し輝かせながら笑った。

「満更でもないって感じか」

「ちち、ちが…!」

「は?乳?」

「違っ…ひゃぁっ!」

指先で胸の頂をきゅっと摘まれたら、だらしない声が出てしまった。それで部屋が一瞬静かになったけど、「ちょっと弄っただけでそんな声出るのかよ」と楽しそうに大輝くんは言った。

「もしかして期待してんのか?悠」

意地悪く口を歪めた直後、胸を左右から押し上げられて、一層谷間で大輝くんのを包み込む体勢になっている。

「やん…っ」

ぽつんと存在を示す胸の先端が、服と擦れて背筋に痺れが走る。故意なのかは分からないけど、たまに彼の少し固い指先が掠める。それが気持ち良くて声が出てしまう。

「―、っ」

深く息を吐いたのを区切りに動きは止まった。進んでしようとは思わないけど、もしかしたら嫌ではないのかも知れない。谷間を伝っていく温かい液体を見ながら、大輝くんの言う通り満更でなかったことに気がついた。


嫌よ嫌よもなんとやら
(結局嫌ではなかったらしい)


20121225
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