手探りだったはずの温度
※腹黒彼女(if設定で瀬戸の彼女)
※ついったでお世話になっている比良坂さんからネタを頂戴しました。ありがとうございます^/////^


目の周りを覆うそれのお陰で眩しくないし、瀬戸も同じようにしているなら文句はない。ないけど、どういう訳なのか私の体を這う手には迷いがない。妙だ。

「あのさ」

「何」

「ちゃんとしてるよね、アイマ」

「してる」

「……」

不満げだったのが伝わったらしく、私の手を取って瀬戸は疑うなよと言う。指先には確かにアイマスクの布の感触がした。外している訳じゃないみたいだった。なのになんでそんなテキパキ動けるの。不思議でしょうがない。

「なんでまだ不満げなんだよ」

「どうして分かるの」

「雰囲気で」

「あっそ」

「今外してないって確認しただろ」

「そうだけど、目隠ししてるんだから方向感覚分からないはずなのになんでそんな普通に動けるのか不思」

「こんだけ体くっついてるんだから分からない方が不思議だけどな」

「くっついてるだけで分かる方が不」

「分かるだろ」

「ていうか被せんのやめて。腹立つ。…っ」

下らない押し問答。それと視界が暗いという非日常的なシチュエーションに本来の目的をすっかり失念していた。膝の裏から腿にかけて、するりと瀬戸の掌が行き来する感触に息が詰まった。





柔らかいしスベスベしてて触り心地の良い素肌を堪能していたらいつの間にやら制服を脱がしてしまっていて、肌よりずっと柔らかい胸に手が伸びていた。下着越しの小振りなそれを触ってて気がついたけど、体を撫で回すのに気を取られて俺は制服着たままだった。暑いし脱ぐか。体を離す気配に緊張を少し解くように悠は小さく溜息を吐いた。

「緊張するなって」

「別にしてない」

意地っ張りだし素直じゃないな。

「ふーん」

なんとなく思ってることが分かってしまったようで、悠が舌打ちをする。反論しないのは素直じゃないって自覚してるからなのか。勢いに任せて乱暴に制服を脱ぎ捨てたら、アイマスクがボタンに引っかかって一緒に取れてしまった。

「あ」

「え、何?」

「あ、いや、なんでもない」

悠の下着はシンプルなものでクラスの女子がしてるような(ボタンを三つくらい開けたまま屈むもんだからたまたま見えたことがあった。別に見たかったわけじゃない。)主張の激しいピンクとかじゃなくて、これまたシンプルなグレー。飾り気のなさがいいなーなんて、考えてたら視線が下の方へ向かう。靴下も片方は完全に脱げて、どっかに行ってしまったらしい。辛うじて残っているもう片方も少ししたら脱げてしまいそう。それと、互いに見えない状態で事に及ぼうとしていたわけだから、無防備になるのはそりゃ当たり前だけど。立てた膝でスカートが捲れてパンツが見えてることに少しばかりギョッとした。その割に見た途端にムラムラしてきてしまって、堪らず。

「!!」

腿を撫でた流れのままに下着のクロッチの隙間から指を差し込むと、声にならない悲鳴を上げて悠は上半身を起こす。先へ進もうとする動きを制止させようと腕を掴むが、それよりも早くふにふにと柔らかいそれを掻き分けると、指先が小さなぬかるみに沈む。無防備に弛緩していた悠の足がきゅっと力んで、膝が閉じられた。

「や、や…っ」

眉間に寄る皺と、戦慄く口元。

「悠、」

なんかもう邪魔くさい。悠がつけているアイマスクを外す。突如明るくなった視界に驚いたのも束の間、かち合った視線の相手―俺―が今まで明瞭な視界のもと自分の体を弄くっていたことを悠は理解した。

「、瀬戸!」

何でアイマスク外してんの!怒号の直後、実力行使がなされるだろうことは容易に想像出来た。なので、奥深く届くように、指を押し込んだ。

「ひ、っ」

窮屈で熱い中をゆっくり掻き回すと悠の抵抗はあってないようなもので、弱々しく胸を押す程度に留まった。

「外したんじゃなくて外れたんだよ」

「屁理屈…!」

抵抗は少なくとも反論だけはする悠の瞳にうっすらと涙が浮かんでる。その瞳を覗き込んでいると、至近距離で目が合った。それに悠はムッとして言う。

「近い。離れて」

「それは無茶だろ」

この体勢で「離れろ」だって。無体だな。

「待てが出来るほど抑えが利くわけじゃないからな」


2013****
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