twinkle | ナノ

  松風くんがサッカー部の入部テストに合格したと、同じく合格した西園くんと一緒に喜んでいた。てゆーか、入部テストなんてあったんだ…。さすがサッカー少年の憧れといわれる雷門中学校。なかなか厳しい。サッカーのこととかはよく分からないけれど、落ちた人もいるって聞いたから松風くんと西園くんは凄いんだなと思う。おめでとうと言えばありがとうと返ってくる。サッカー部に入れたことがよっぽど嬉しいのか、二人は飛び跳ねるように嬉しがっていた。微笑ましいなぁ、と自然に口が緩んでいく私に隣にいる葵ちゃんは言う。




「私もサッカー部に入ったの」
「え!葵ちゃんも合格したの!?すごい、葵ちゃんサッカー出来るんだ…」
「違う違う!私はマネージャーよマネージャー!」
「えっあぁ!なるほど!」




  よく考えればサッカー部に女の子は入れないからそりゃそうだ。マネージャーか、かっこいいなぁ。葵ちゃんしっかりしてるし、手際も良さそうだしマネージャーに向いてそう!そう思ってそのまま葵ちゃんに伝えたら、頑張る!とやる気満々だった。




「ねぇ、名前もどう?」
「どうって…何が?」
「マネージャー!名前もやらない?いてくれた方が心遣いし…」
「っえええええ!無理無理!ぜーったい無理!」
「やってみないと分からないじゃない!」
「でも私サッカー全然知らないし…」
「やってくうちに憶えていくって!」
「でも…うん。遠慮しておくよ、ごめんね葵ちゃん…」
「…そっか、ううん。気にしないで!」




  名前は名前のしたいことしないとダメだもんね!バンと私の背中を叩いて葵ちゃんはそう言う。やりたいこととか、ないんだけどね…。誘ってくれたことは有難いしマネージャーに憧れとかもあるけど、やっぱり私には出来ないかな…。みんなに迷惑かける気しかしないし…。




「一年生のサッカー部員は三人だけなの?」
「いや、もう一人いるよ」
「え?そうなの?」




  誰?という私の問いに、西園くんがどこか複雑そうな顔でとある席を指差した。その席には誰も座ってなくて空席。あれ、確かあの席は…。




「剣城くん…」
「あいつもサッカー部なんだって。入部テストもしてないのに…」
「まぁまぁ信助!剣城のサッカーの実力は本物なんだから!」
「それはそうだけど…。でもあいつなに考えてるか分かんないし…」
「きっとすぐに打ち解けれるって!なんとかなるさ!」




  剣城くんサッカー部入ったんだ…。サッカー部に大変なことがあったってことは、理科の先生のカツラ疑惑の噂と同じくらい有名だ。詳しいことはよく分からないけど。二人の会話を聞く感じ、あんまりよく思われてなさそうだけど。…って、別に松風くん達と剣城くんの関係なんて私が気にすることじゃないじゃん。なのに何でこんなに考えて…。あー!消えろ消えろ頭の中にいる剣城京介!
  消すために頭を叩いている私を三人が不振な目で見ていたことには当然気が付かなかった。







20120223


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