twinkle | ナノ

  周りを見ればまったく知らない人達ばっかりでどうしようと焦ったけど、なんとか大丈夫だったみたいです。同じ小学校だった松風天馬くんと空野葵ちゃんがいました。松風くんとは男の子の中でも貴重なまだ喋れる人だったし、葵ちゃんとはけっこう仲良かったし。神様ありがとう!と前で話している二人をよそに、神様にお礼を言った。ついでに言っておくと、私の制服の着方も間違ってはいなかったみたいです。




「苗字は部活とかしないの?」
「えっ、んー、今のところ予定はないかな…。松風くんは?」
「もちろんサッカー部!」
「ほんと天馬はサッカー大好きね」
「葵ちゃんは?部活する?」
「何かやろうとは思ってるけど、考え中!」
「そっかぁー」




  部活かぁ…。小学校のときからあったけど、本格的ではなかったからなぁ。松風くんは迷いすらなくてサッカー部って決めてるし、葵ちゃんも部活には所属するみたいだし…。でも私、運動神経も普通だし特にやりたいこともないからなぁ。そんなことを考えていたら先生が入学式が始まると声をかけに教室に入ってきた。クラスのみんなが音を立てて用意をし、体育館へ向かった。
  眠たくなるような話しを長々と聞かされる。何度か欠伸がでるのを我慢した。めんどくさいなぁこういうのって。ちらっと隣の人を見れば少し俯き気味になりながら首がカクンカクンしていた。私も寝たいと思ったけど、生憎入学式に寝るような度胸は持ち合わせていなかった。隣の人に尊敬を込めた拍手を心の中で贈っておいた。







  やっとこさ開放されて、各自の教室へ戻る。初日なので教科書などを配られたあとは、すぐに解散となった。松風くんはさっそくサッカー部に行ってくる!とはりきって誰よりも早く教室から飛び出して行った。どうやら同じクラスの西園くんと意気投合したみたい。そんな松風くんを葵ちゃんはやれやれといって呆れた目で見ていた。




「じゃあ葵ちゃん、私は帰るね」
「あ、うん!ばいばい、名前」




  葵ちゃんに軽く手を振ったあと教室を出て下駄箱に向かった。あぁやっと一日目が終わった。長かったような短かったような…、と安緒のため息をついた。のも束の間。




「あ、」




  下駄箱につくとそこには朝の桜をとってくれた人が。思わず声をもらしてしまったことで、その人は私を見る。わわっ、どうしよう…!




「け、今朝は桜をとってくれてありがとうございました…っ」
「……別に」




  お礼を言わないのは失礼だったかな、とありがとうと言えばそっぽを向いてそう言われた。不思議と無愛想とは感じなかった。それよりもクールだなぁって思った。年相応じゃなくて、大人びてるっていうかなんというか。




「わっ私、苗字名前って言います!」
「……」
「えっと…、あなたは?」
「……剣城。」
「つるぎ?」
「剣城京介」
「剣城、くん、か。」




  剣城とか名前かっこよすぎる。見た目もかっこいいもんな…って、私一体なに考えてるの。恥ずかしい。邪念を取り払うかのようにブンブンと頭をふると、剣城くんが無言で外へ出ようとした。




「あっ剣城くん!」
「……」
「さ、さよなら…!」
「……」




  目は合わせてくれたものの、返事はくれなかった。それでも言えたことに満足してご機嫌で私も外へ出る。門を通り過ぎようとした時に気付く。あ、靴履きかえるの忘れてた。







20120222


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