twinkle | ナノ

  ドキドキドキ。高まる心臓を抑えながら思いきって境界線を私はこえた。柔らかい風が吹き抜けて、それと同時に桜が舞い落ちる。目の前にはイナズママークが目印の校舎が堂々とそびえ建っている。うわぁ、さすが名門とまで言われてる学校だな、すっごい大きい校舎だ。




「今日から私も中学生…」




  エンジョイするぞ!両手でグーを作って意気込んで一歩ずつ足を進める。長かった小学校を卒業して一ヶ月も満たないくらい、いよいよ私の中学校生活が幕を開けようとしていた。夢にまでみた中学生…、楽しむぞ!と勢いよく教室の扉を開ければ中にいた人が一斉に私を見る。当たり前だけど、全然見知らぬ人達ばかり。いたたまれなくなり勢いよく開けた扉を、今度は静かに閉めた。あれ、私何やってるんだろう。普通に変な人じゃん!そう思い再び開けようとするも、なかなか勇気が出ずに扉の前でくすぶっていたら後ろから声が降ってきた。




「おい」
「わっ…と、なっ何ですか!?」
「邪魔」
「え…、あ!ごめんなさい!」




  邪魔をしていたことに深々と前かがみになり謝罪する。あーもう、初っ端から何してるんだろう私。いきなり人に迷惑かけて…!邪魔と言ったその人を見れば、つり目に独特な制服の着こなし、それと髪型。も、もしかしてこれが中学生のスタイルなの!?みんなこんな風なの!?私ふっつーの制服の着方だしふっつーの髪型だし、ついでに言うとふっつーの顔だし!もっとインパクトつけないとダメなのかな…。そんな馬鹿なことを考えていたら、その男の子が怪しむような目で私を見ていた。やばいと思い勇気を振り絞って話しかけようと決心した。




「こっ、このクラスの人ですか?」
「……あぁ」
「わ、私もです!よ、よろしく…です」
「………」




  何で私は同級生に敬語使ってるんだろう、てゆーかよろしくって言って無視なんて悲しい。「あ、…ごめんな、さい…」テンションが鬱陶しかったかな、と念のため謝っておくことにした。人見知りな私なりにけっこう頑張ったのに…。先が思いやられる…そう思ったとき、男の子の手が私の髪に触れた。え、ええ…!?




「あ、あの!な、なななな…っ」
「桜」
「…は、はい?桜?」
「桜ついてた」




  そう言って私にその桜を渡して男の子は教室に入って行った。私も入らないとと頭で分かっていても体が動かない。触られたところが何故だかとても熱く感じた。お父さん以外の男の人に、髪の毛触られたことなんてないのに…!赤くなっていく顔を抑え、手の平にあるキレイな桜を優しく包み込むように握ったあと、私も教室へ踏みだした。







20120221


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