HEAVEN | ナノ



  恋季とは昔からずっと一緒にいた。アメリカから引っ越してきた恋季と出会ったのは三歳の頃。生まれつき病気を持っていた僕は、当時も入院していた。もちろんその時も抜け出したりして先生達に怒られていた。恋季と出会ったその日も僕は抜け出してはサッカーをしていた。一人でサッカーをしていた僕をじーっと見つめていたのが恋季。人見知りをしない僕は恋季に話しかけた。サッカー好きなの?と。




「あ、えっと…」
「?」
「ご、ご、ごめんなさい!」




  今思えば懐かしいなぁ。僕と真逆ですっごい人見知りな恋季は、走ってその場から逃げ出した。追いかけようとしたけど、先生に見つかって病室に連れ戻された。で、その日は結局そのまんま。でも何故か僕は無性に恋季のことが気になった。ほとんど病院生活だったから、きっと何かしらの刺激が欲しかったんだと思う。先生の積極も聞き流して、また会えるかななんて思いながら、明日も抜け出そうと決めた。そう、僕は昔っから問題児さ。



  次の日も同じ場所でサッカーしていた。早くあの子来ないかなぁ、って。しばらく夢中でボールを蹴っていると、何処かしらから視線を感じた。感じた方を見てみると、そこには昨日のあの子、恋季がいた。やっぱり来た!と思って僕は走って駆け寄る。その時の恋季のびっくりした顔は今でもはっきり覚えている。




「今日も来たんだね!」
「あ、え、あの…」
「君、名前は?」
「あっ、恋季、です、」
「恋季か!僕は太陽!よろしく!」
「よ、よろしく…?」
「恋季もサッカー好きなの?」
「えっ、え?」
「ずっと見てただろ?」
「あ、あのね、お兄ちゃんが、サッカーやってて、上手くて、」
「そうなんだ!」
「それで、太陽、くん?も上手だなぁって、見てた、の」
「太陽でいいよ!」
「えっ、…た、太陽?」
「うん!」




  それから恋季は毎日のように来てくれたんだっけ。時間が経つにつれて、恋季は俺に心を開いてくれた。それが凄く嬉しかった。幼稚園に入って、小学生になって、中学生になった今でも恋季はそばにいてくれる。恋季は別に恋人なんて関係じゃないし、いわゆる幼馴染だ。それでも、胸をはってこれだけは言える。恋季は僕にとって必要で、大切な存在なんだと。







20120205



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テーマ「人外ファンタジー」
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