HEAVEN | ナノ



  いつだっけ、太陽と出会ったのは。確か三歳の頃だったよなぁ。遊びに日本に来たつもりなのに、お兄ちゃんが我儘言ってそのまま住むことになったんだよね。なのにお兄ちゃんはサッカーの世界大会とかなんとかでアメリカに帰っちゃうし、十年たった今でもアメリカにいるんだよなぁ。でも頑張ってるみたいだから何よりだ。それに、お兄ちゃんのおかげで太陽に出会えたんだから、それはすっごい感謝しなきゃ。




「すごいんだ!恋季!」
「た、太陽?」
「本当にすごいんだ!俺感動した!」
「とっ、とりあえず落ち着いて…?」




  病院に入ると興奮気味の太陽がいた。もとからテンションは高い方だったけど、これはきっとよっぽどのことがあったんだろうな。ついてあるテレビにはサッカーをプレイしてる人達が映っている。実況からは雷門中がなんとかって聞こえてきた。




「これ、前言ってたホーリーロードってやつ?」
「ああ!これは雷門中の試合なんだけど、すごい人がいるんだ」
「へぇ、どれ?」
「あ、これだ!松風天馬って言うんだ!」




  太陽が指差した人を見るも、正直小さくてよく分からなかったのが感想だ。太陽はこの松風天馬の何にそんなにテンションが上がってるんだろう。




「なんていうか、すっごい熱いものを感じるんだよ!」
「ふぅん…」
「あー、今めちゃくちゃサッカーがしたい!」
「冬花さんに怒られるよ?」




  そんな私の静止の声も無視して、太陽は病室から飛びだしていった。やれやれ、と思いつつ再びテレビを見る。どうやら雷門中が勝利したようだ。「松風天馬ねぇ…」太陽を感動させた松風天馬。ちょっと悔しいかも。ちょっとだけね。







20120205


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