太陽がいなくなってから私の世界から光が消えた。でも、それじゃあいけない、太陽に怒られる。そう思って自分に喝を入れて前を向くために内気な性格も弱い自分も受け止めて、苦手だった人と関わることも挑戦していった。新しい光が見えたような気もする。
そういえば、とふいに前に話した太陽との会話を思い出した。天国の話し。なんだか懐かしいなぁと、笑いがこみ上げてきた。
「ねぇ恋季、天国って信じる?」
「どうしたの?急に、」
「なんとなくだよ」
「…天国、かぁ」
「どう?」
「…まぁ信じてるかな?」
今だにあるかどうかなんて分からないし、完璧に信じているわけでもない。でも、太陽が最期に言ってくれた天国なら、私は迷わずに信じられるよ。
「天国って、死んだあとに行く世界じゃないのかも」
「…どういうこと?」
「僕にも分からないけどね、」
「……」
「見つけたいなぁ、天国」
「太陽は見つけたんだね、」
ねぇ、太陽。太陽は私がいた世界を天国だと言ってくれたよね。それじゃあ、死んだ太陽が行ったところは天国じゃないの?私が生きてる太陽が死んだ世界は、もう天国じゃないの?太陽からの答えは返ってこない。返ってこないけど、なんとなく分かる気がするよ。
「私が違う世界でまた出会えたら、そこもきっと天国なんだね」
小指に誓った約束は守れなかったけど、それも次の新しい天国で果たせるよね。だから、これは私の最後の我儘です。
「次の世界でまた出会ってね」
空を見上げるでそう言えば、てっぺんでキラキラ輝いている太陽が笑った気がした。
「天国ってあると思う?」
「ここにあったよ。君の隣に」
20120212 ……end.