HEAVEN | ナノ



  もう話すことも出来なければ、大好きだったサッカーをしてる姿も見れない。あのオレンジ色の綺麗な髪も、顔も全部。死ぬのってあっけないんだなぁ。とつくづく思う。もう会うこと出来ないんだ、太陽に。
  太陽のことを知ったお兄ちゃんはアメリカから電話を掛けてきてくれた。多分責任を感じてるんだろう。謝ってきたから。だから私は大丈夫だから、と返しておいた。お兄ちゃんは後悔とかの話しじゃないって言っていた。じゃあ今、止めておけばよかったと考えてる私は後悔してるんだろうか。いなくなった太陽は、後悔してるんだろうか。どちらにせよ、もう太陽はいないんだから太陽の気持ちが分かるわけがない。せめて私は、後悔したことを後悔しないようにしよう。




「…でも会いたいよ、」




  そんな言葉は空気に消えた。確かに試合の時、太陽は今までで一番輝いていた。これでよかった、これでよかったんだ。自分に暗示をかけるように唱えた。太陽は最高の仲間達と共に、最高の敵と戦う道を選んだんだ。そんな太陽が後悔なんてするわけがない。太陽は幸せだったんだから。
  窓を開けて空を見上げる。太陽はすっかり沈んでる時間なので、当たり前に姿はない。そこには満月が光を放って浮かんでいた。




「おやすみ、太陽」




  あなたは私にとって、かけがえのない太陽みたいな存在でした。よく病院を抜けて冬花さんを困らせて、いつだって無茶ばっかりで、前しか向いてなくて、眩しいくらいに輝いて、私の手をひっぱってくれて。そんな太陽が、大好きでした。







20120212

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