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  試合当日。私は雷門VS新雲の試合会場に来ていた。ああ、とうとうこの日が来てしまったんだなぁと今さら何を思っても仕方がないので、おとなしく観覧席に座った。フィールドを見るとそこにはウォーミングアップをしている太陽の姿。これが太陽のサッカーする姿の見納めなんて思いたくない。
  試合が始まると太陽はすごかった。開始そうそう一人で点をとってしまう。そうよ太陽はすごいんだから、と私がしてもしょうがない自慢を心の中でした。




「頑張れ、太陽!」




  二回目シュートを決めたとき、太陽はすでにもう限界だったと思う。時々見せる、しんどそうな顔をしているから。でも決めたんだ。太陽を信じるって。両手を握ってひたすら願った。この試合が終わったあと、太陽が笑顔でありますようにって。




  雷門中に二点返されて、ちょっとまずいと焦っていたけど太陽のテクニックでまた一点新雲に入る。太陽は人一倍努力してきたんだ。あのフィールドに立っている人達はみんな努力してきたここにいるんだろうけど、私は太陽がどれだけ辛い思いをしてきたか知ってる。すべての思いを抱えてこのフィールドに立ってるの。
  でも、私の願いも虚しく新雲は雷門に敗れた。目尻が熱くなって、たまっていた涙がこぼれそうになったけど、太陽があんまりにもスッキリした顔してるから自然と笑顔になれた。




「太陽すっごい輝いてたよ」




  聞こえないのを分かっていてそう言ったのに、太陽と目が合った気がした。私と目が合った太陽は少し不安そうな顔だったけど、私が微笑むと太陽も微笑んだ。すれ違っていた心が繋がった気がして、我慢してた涙が流れ出した。これから先、どうなるか分からないけど、それでも、今だけは思いっきり泣かせて。今だけはーー。







20120212

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