HEAVEN | ナノ



  思えば昔からそうだった。無茶をする太陽を、私はいつでも遠くから眺めるだけでそれ以上もそれ以下もしなかった。やめときなよと声は一応かけてみても、太陽がその上から言葉を被せてきたら、ほどほどにねとか当たり障りのない子供を返す。太陽に嫌われたくないから。こう考えていたら私ってただの偽善者だなぁと思うしかなくなってしまう。
  お兄ちゃんの時もそうだった。もう二度とサッカーが出来なくなるかもしれないのに、それでも必死でボールを追いかけるお兄ちゃんに私はもうサッカーしないで、なんて言えなかった。それはお兄ちゃんのサッカーしてる姿が好きだったからのもあるけど、なにより私がそう言ってお兄ちゃんが悲しい顔するのが嫌だったから。だからずっと神様にお願いしてたんだっけ。私って、昔から神様にお願いしてばっかりで自分じゃ何もしなかったんだ。




「でも神様にお願いして、お兄さんは助かったんだろ?」
「お願いしてっていうか、それはお兄ちゃんの力でだから…」
「それでも、恋季がお願いしたことは少なからずお兄さんの力になったと僕は思うよ」
「…そうかなぁ?」
「そうだよ」




  だから太陽にこう言われたときはすごく心が軽くなった。私が認められたような気がして、言い方変だけど、それまでお兄ちゃんにあった罪悪感がなくなった気がして。「恋季は神様に愛されてるんだね」現実味ないしすっごいバカげたことだとは思うけど、嬉しかった。なので私はこう言った。




「太陽が幸せになれますようにって、神様にずっとお願いしとくね」




  ほんと子供だったなぁ、あの時の私は。今でも成長してないんだろうけど。
  でもね、太陽。私も少し前へ踏み出そうと思うの。前しか向いていない太陽みたいに。お兄ちゃんのときから、ずっと見てるだけ、祈るだけの私とはバイバイしたいの。怖がらずに、私は真っ直ぐ太陽と向き合うよ。




「試合に出ないで」







20120212

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