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運がよければ月に一回も回ってこない日直の仕事。今日は私がその稀な日直の当番の日だった。偶然が重なると怖いなぁ、と空っぽの隣の席を見ながら思った。本来ならこの隣の席には狩屋くんが座っている。しかし、どうやら今日は風邪で学校を休んだらしい。で、日直である私が今日の分のプリントを狩屋くんの家まで届けに行くことになったのだ。今日部活休むって伝えといて、と天馬くんにお願いしたあと、私は狩屋くんの家に向かった。




「ここがお日さま園かぁ…」




たどり着いたのはいいものの、狩屋くんの部屋も分からないしどうしたらいいのやらで門の前をウロウロしていた。すると、不審に思われたのか、綺麗な女の人がやってきた。




「何か用かしら?」
「あ、え、その…」
「その制服、雷門中ね」
「は、はい!狩屋くんにプリントを届けにきましたっ…」
「わざわざありがとう。案内するわね」




美人だなーとその女の人の後ろを着いて行きながら思ってると、狩屋くんの部屋まで案内された。女の人がコンコンとノックし「入るわよ、」と声をかけると「んー」と怠そうな声が返ってきた。




「何?瞳子姉さん…」
「お見舞いに来てくれたわよ」
「お見舞い?誰が…」




さっきまで寝ていたのか、眠たそうな目をごしごし擦りながら、横たわっていた体を起こした。「失礼します、」ペコっと頭を下げて部屋に入ると、「は!?神崎!?」と病人とは思えないほど大きな声で目を見開いて狩屋くんが言う。ゆっくりしていってね、と瞳子姉さんとそう呼ばれていた人はドアを閉めて行ってしまった。




「こ、こんにちは…。風邪大丈夫?」




念のため聞いてみると「たいした風邪じゃねーよ。お見舞いに来るほどじゃねぇ」それを聞いて、よかったと言うと狩屋くんがそっぽを向く。あれ、そういえば私、男の子の部屋上がったのって初めてかもしれない…。しかも二人っきりだし…!今の状況を把握した私は変な緊張感にとらわれていた。普段は何の緊張もなく言い合いも出来るのに、変なの。ドキドキ、早くなっていく心臓の音に私は気づかないフリをした。




その見つめる先に







20120129