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「す、すすすすすごいっ!」




おそるおそる白い紙を広げて見れば、それは前回のテストよりも果てしなくいい点数が書かれていた。やばい、この点数がめちゃくちゃ輝いてみえる。なんだか泣きそう。大袈裟なことを言ってるものの、実際は平均点よりもちょっと上なくらい。それでも私にとったら100点を取ったくらいの喜びだった。




「それもこれも全部狩屋くんのおかげ!ありがとう!」
「俺は精神削られただけだけどな」
「本当夢みたい!ていうかもしかしてこれって夢!?…いでっ!痛い痛い痛い!つねるな!」
「神崎が夢だとか言うからだろ」




頬をつねっていた手を狩屋くんが離す。あれ、本当に涙が出てきた気がするようなしないような、いややっぱりする。痛い、とヒリヒリする頬を撫でながら狩屋くんを睨むもスルーだ。




「あ、そういえば気にしてたんだけど…」
「何をだよ」
「狩屋くんはテスト大丈夫だった?私の勉強ばっかで、自分の方は出来なかったんじゃないかと思って…」
「…ほら」




狩屋くんの答案と思われる紙を私へ突き出してきた。目に飛びこんできた数字に思わず目を見開く。私、やっと数学とかはなんとか理解出来たのに、今度は狩屋くんの頭の中が理解出来ない。




「神崎に勉強教えたら、復習になって自分でもびっくりする点数だったぜ」
「じゃあこれからもこの方法でしたらいいんじゃない?」
「なにさりげなく次も教えてもらおうとしてるんだよ」




バレたか。また教えてほしかったのに…。もう二度と教えねぇから。と、ベーっと舌を出して言う狩屋くんは悪ガキそのものだ。ああでも、本当に教えてもらってよかった。これで部活を辞める心配もないだろうし…。何より、いつもは点数が悪かったから家に帰るのが嫌で嫌で仕方なかった。でもまさか点数が悪くなかっただけで、こんなに堂々と家に帰れるなんて思ってもみなかった。これからのテストもこんな感じで帰れるようにしよう、と心に誓った。




全部ここにおいてって







20120223