Let's! | ナノ

配られたプリントを見てはため息をついた。黒い文字でびっしりと書かれた日程やら範囲やらに、消えて下さいと頼んでも何も変わらない。当たり前か。




「はぁぁ…」
「ため息何回目だよ鬱陶しい」
「私よりもテストの方が鬱陶しい」
「いや少しの差でお前の方が鬱陶しい」




憎しみを込めた目で睨むも完璧にスルーされた。狩屋くんは頭いいから余裕ですよねーと嫌味ったらしく言えばそれさえもスルーされた。さっきからスルーばっかしすぎだってば!




「まぁでも、なんとかなるさ!」
「吹っ切れたな」
「って天馬くんなら言うだろうなー」
「おい」




前にあった数学のテストで一回地獄を見てるためそんな気楽に考えれないの。ごめんね天馬くん。とにかくせめて平均点は取らなければ私の未来は危ない。地獄なんかじゃすまされない。それくらい危ない。



 
「っつーか俺らまだ中一だろ?そんな勉強勉強じゃなくていきんじゃねーの?」
「…ところがですね狩屋くん」
「何だよ」
「事態はとても深刻だったりしちゃうんですね」
「どーいうことだよ」
「これは私のトップシークレットに値するんですけど、」
「聞きたくねー」
「実は今回のテスト悪かったら、部活辞めろとか言われちゃいました」
「……」
「…えへっ」




ゴミを見るような目で見てくるから舌を出してウインクしたら頭を殴られた。女の子に暴力ふるうサイテーと騒いでやったらそれも無視してまた頭殴られた。これだけ殴られたら私の頭も良くなるかなー。劣化した場合には狩屋くんに責任をとってもらおう。そうしよう。




「ほんっっっとバカ!」
「ためるねー」
「真面目に話しをしろ!」
「痛いっ!今日だけで三回も殴られた!」




頭に怒りマークをのせて手で拳を作っている。うわやばい、まだまだ殴る気じゃん。身の危険を感じて狩屋くんと反対側の隣の席の男の子に話しかけようとしたら、狩屋くんに連れ戻された。




「先輩達にお願いするぞ」
「はい?パードゥン?」
「だ、か、ら!先輩達に勉強教えてもらうぞ!」
「誰が」
「俺の目の前にいる奴だよ」




右と左と念のために上と下とも確認したけど、狩屋くんの目の前にいるのは私だけだった。自分に指差して私?と問いかけるようにすると、狩屋くんは黙ってうなずく。




「ダメダメダメ!先輩達に迷惑!」
「神崎が部活辞める危機ってなれば、協力してくれるだろ」
「ええ、でも…」
「もう決定だから」




私の意志は無視ですかい。あーでも先輩達に教えてもらえば、どうしようもない私の頭でもちょっとは改良されるかも。百人力とはまさにこのこと。キャプテンとかすごい頭よさそうだし、霧野先輩も優等生な雰囲気を持っている。いやぁこれで部活を辞める心配もなくなったなー。安心しきってなぜか着いてくる狩屋くんと放課後先輩達にお願いしたら、耳を疑う言葉が返ってくる。




「それなら狩屋に教えてもらえばいいじゃないか」
「……はい?」




狩屋くんとハモった。




流れる星とスピカの意図







20120213