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  どきどきどきどき。私の心臓はこれ以上ないってくらい緊張していた。だって、だってだってだって!か、狩屋くんと部室で二人きりだなんて!落ち着こうと思い胸に手をあてながら深く息をした。狩屋くんは二つ隣の椅子に座って頬杖をついている。何でみんな来ないの!と時計を見るも、練習開始まで後30分くらいあった。とにかくこの空気をなんとかしようと勇気をふり絞って狩屋くんに話しかけた。




「み、みんな遅いね…」
「そーだな、」




  会話終了。あーもうどうしよう!絶対つまんない奴って思われた。いや、実際つまんないけど。早くみんな来てくれって思いと、狩屋くんと二人きりだから来ないで、と矛盾した思いが心の中にあった。「なぁ、苗字、」「な、ななな何!?」いきなり話しかけられてびっくりした私は、この上ないくらいにどもってしまった。は、恥ずかしい…!




「苗字ってさ、えーと…」
「…?」
「その、何ていうか、」
「狩屋くん?」
「………あー、」
「……」
「好きな、人、とか、いるの、か」




  狩屋くんのセリフにフリーズした。え?今なんて?好きな人?私の?……あなたです。頭の中では冷静に答えてみるものの、口には出せなかった。だってそんなの、言えるわけないじゃん。何も答えない私に気を使ったのか、「やっぱ今のなし」と狩屋くんが言う。




「え、ええ?」
「聞かなかったことに」
「か、狩屋くん?」
「あー今日もいい天気だなー」




  そっぽを向いた狩屋くんの顔は真っ赤だった。え、これって自惚れてもいいの、かな…?と、ポジティブに考えた私は意を決して答えた。




「いる、よ…。好きな人、」
「……え、」
「わ、私は、狩屋くんが好き!」




  きっと私、今人生で一番緊張してる。怖くて閉じていた目を開けると、口を開けたまま呆然とこっちを見ている狩屋くんが映った。「な、んで?」「え?」「何で俺なんか?」理由も言わなきゃいけないの!?と思ったけど、このさいヤケだ、全部言ってしまおう。と熱が顔に集中していくのを感じながらも言ってやった。




「狩屋くんは、優しいから…」
「優しい?俺が?」
「う、うん…」
「猫かぶりなのに?」
「そ、そういうところもあるけど…!でも、」
「……」
「一緒に歩いてるときとか、歩幅合わせてくれる…」
「……」
「他にもいっぱいあるけど、そういうとこ好きだなっ、て…」




  黙ったままの狩屋くんが怖かった。お、お願いだから何か言って…!しばらくの沈黙が続いたあと、「違う」と狩屋くんが言った。




「…優しいからじゃねぇよ」
「狩屋くん…?」
「あーだから!」




  いきなり叫んだ狩屋くんにびっくりして肩が震える。怖くて見れなかった視線を狩屋くんへ向けると、耳まで顔が真っ赤だった。




「歩幅合わせてるのも、苗字の隣を歩きたかったからつーか…!」
「え…」
「つ、つまり!お、俺も苗字のことが、す、好きなんだよ!」
「ほ、本当に…?」




  嘘なんかつくかよ、狩屋くんの手が私の頬に触れた。と思ったらだんだん狩屋くんの顔が近くなってくる。え、え、え、と混乱していたら今度は唇に何かが触れた。「いっ今の…」されたことを理解した私は両手で顔をおさえた。ああ、みんなが来る前に早くこと熱をなんとかしなくては。









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ノリだけで書いたんだ


20120121


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