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  ケガをしたマルコの足を消毒しようと救急箱をあさるとテーピングがもう残り少ないことに気付く。今日練習が終わったら買いに行かないと、と考えながらマルコの足に消毒液をかける。しみるよ名前、と言うマルコの声は聞き流す。最後に絆創膏をはると、お礼を言ってマルコは練習に戻っていった。









  練習終了とキャプテンのフィディオが合図をする。選手達にお疲れ様と声をかけた後、使ったドリンクなどを片付けテーピングを買いに行こうと宿舎の外に出ようとした時だった。「どこ行くの?」後ろから声が聞こえてくる。さっき聞いた声だ。「フィディオ」その声の主の名前を呼ぶ。




「テーピングがもうないから、買いに行こうと思って、」
「俺も一緒に行くよ」
「え?でも練習で疲れてるのに悪いよ…」
「俺が着いて行きたいんだ」
「でも…、」
「ほら、行くよ!」




  半ば強引に手を引っ張られて宿舎の外に出る。悪いなぁ、とは思っているが、私も着いて来てくれた方が嬉しい。何よりフィディオがいいんならいいっか。と勝手に自分の中で解決した。やっぱ優しいな、フィディオは。なんてことを考えていると、フィディオの手と繋がっている自分の手が目についた。うわああ、私、フィディオと、手、繋いじゃってる!顔だけがやけに熱く感じた。




「名前?顔赤いけどどうかした?」
「いっ、いや、何でもありません!」
「本当か?」
「は、はい!大丈夫ですっ」




  何で敬語なんだよ、と爽やかな笑顔でフィディオが言う。どうやったらこんな綺麗な笑顔出来るんだろうか。フィディオにつられて私も微笑んだけど、私の笑顔はもっと変なんだろうなぁ。そう考えてるとなんだか悲しくなってきたから考えないようにした。




  お店について、適当な量のテーピングを購入した。よし、これで当分無くなる心配ない。店員さんからテーピングの入った袋を受け取ろうとすると、フィディオが私より先にその袋に手をかけた。あれ、何で。そう言う代わりに視線をフィディオに向けると、「俺が持つよ」あの綺麗な笑顔でフィディオが言う。




「えええ、悪いよ!私が持つよ!」
「名前が持つのに、俺が何も持たないわけにもいかないだろ?」
「で、でも…」
「気にするなって」




  フィディオがお店から出ようと歩き出す。なんか、ずるい。きっとこうやって何人もの女の子を落としてきたんだろうなぁ。そんなことをフィディオの背中を見ながら考え、私もお店を出た。




「ありがとうね、本当に。助かった」
「いいよ、これくらい。また何かあったら言ってよ」
「優しいね、フィディオは」
「そんなことないよ」
「フィディオも何かあったら言ってね」
「ああ、」
「そんな力になれないかもだけど、話し相手くらいならなれるから!」
「ああ、分かった」




  じゃあ帰ろっか、と来た道を戻ろうと足を進めると、後ろにいるフィディオに名前を呼ばれた。「フィディオ?」振り返るとお互い一直線上に見つめ合う形になった。「名前、」




「今から時間ある?」









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フィディオは積極的だと思う


20120205


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