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  HRの時間に行われた月の始めにする恒例の席替え。正方形の箱の中から、後ろの席になりますように、と願いをこめて引いた番号は4。幸せの4だ。そんなことを思いながら黒板に書かれてある席順を見ると後ろから二番目。やった、ついてる!と思って心の中でガッツポーズをし、その席へ座った。そういえば隣は誰だろう、と横へ顔を向ければ頬杖をついた剣城くんがそこにいた。




「あ、剣城くん隣だ」




  しまった、声に出してしまった。剣城くんと対して喋ったことないのに、なれなれしい奴と思ったかな。おそるおそる剣城くんを見ると、ぱちっと目があった。




「あ、えっと…、よろしくね」
「…あぁ」




  そう言って剣城くんは前を向いた。想像してた通り、クールなんだなー。女の子に興味なさそうだし、落ち着いてるし、同い年とは思えない。隣の席だから必然的に見える横顔を眺めながら、そんなことを考えた。わ、剣城くんまつげ長いなぁ。




「……なぁ、」
「…え、私?な、何?」
「…何か用か?」
「え、何で?」
「いや、だって、」
「……?」
「…ずっと見てるから、」




  え、嘘。私そんなに剣城くんのこと見てた!?途端に顔が熱くなっていくのが分かった。絶対変な奴だと思われた!剣城くんも少し俯くもんだから、何だかとても気まずい空気に変わってしまった。




「ご、ごめんね!無意識に剣城くんの方見てたみたい…」
「…え?」
「え?」




  びっくりした顔で剣城くんが私の顔を見る。あれ、私何かそんなびっくりするようなこと言ったっけ?意外な反応にどう返したらいいか分からず、お互い見つめ合う状態が続いた。




「苗字…、」
「ん?」
「……」
「……」
「いや、何でもない…」
「…?」




  どうしたんだろう、剣城くんが変だ。そう思い再び頬杖をついた剣城くんを見ると耳が真っ赤だった。なんでだろう。あれ、そういえば私、さっき名前を呼ばれなかった?苗字って、確かに剣城くんそう言ったよね?…私の名前、覚えてくれてたんだ。そう思ったら、何だか嬉しくなった。さっきまで遠い存在だと思っていた剣城くんとの距離が少し縮まったような気がした。









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剣城はそーいう言葉に敏感そう


20120109



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テーマ「人外ファンタジー」
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