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  熱っぽいなー。なんて思いながらいつも通り学校に来た自分に教えてあげたい。風邪をみくびるなと。白くて清潔なベッドの上で、ゴホンと一つ咳をした。どうやら私は授業中に倒れたらしい。これは保健室の先生にきいた。みんなに迷惑かけたなー、今頃みんなは英語の授業かー、なんてボーっとして働かない頭で考えてたら、眠気がやってきたので私は夢の世界へ入っていた。




  バタバタバタ、ガシャーン!眠りについて暫らくしたあと、凄い音がして目が覚めた。寝起きであんまり開かない目をこすり、白いカーテンを開けてドアの方へ目をやると息を切らして慌ててるマサキがそこにいた。




「…マサキ?」
「…名前、」
「どうしたの?そんなに慌てて…」
「いや、名前が、倒れたって、きいたから、」




  まだ安定しない息のまま、マサキが言った。きっと授業が終わったあとにでも、誰かしらから聞いたのだろう。倒れたって言ってもそんな大袈裟な。なんて思ったが、こんな風に焦って来てくれたことは素直に嬉しかった。




「ただの風邪だよ?そんなに心配しなくて大丈夫」
「か、風邪…?」
「うん。たいしたことないよ」
「…な、ならよかったけど…」
「ごめんね。心配かけちゃって」
「…謝る必要ないっつーの」




  そう言ってマサキは私のおでこをつついた。つつかれたところを触りながらニヤニヤしてると、気持ち悪いとそう言われた。




「何、早退すんの?」
「あ、うん。やっぱちょっとしんどいしね」
「…ふーん、」
「だから、鞄取りに行かなきゃ」




  そう言ってベッドから出ようとすると、マサキに止められた。「俺が取りに行くから、おとなしく待ってろ!」ビシッと指をさされてそう言われた。走って保健室から出ていくマサキの背中を見ていたら、保健室の先生に青春ね、と言われて顔が赤くなるのを感じた。今の会話聞かれてたんだ、恥ずかしい。と赤くなった顔を隠すように両手で覆った。この空気に耐えられない、早くマサキ帰ってきて!布団にくるまりながら、ただただそう願った。





  暫くしてから鞄を持ったマサキが帰ってきた。でもなぜかマサキは私に鞄を渡そうとせず、早くベッドから出ろ、とせかしてきた。




「あ、え?マサキは?」
「送ってく、」
「え、いいよ悪いし…」
「俺が送りたいから送ってくだけだから!だから気にすんな!」




  手を引っ張られて半ば強引に連れていかれた。保健室を出るときに先生に、失礼しましたと言うと、お大事に、頑張ってね。と言われた。何を、と返す間もなくマサキに引っ張られてった。休み時間で騒がしい廊下を抜けて、下足へ。靴をはきかえながら、ちらっとマサキを見ると、マサキも靴を履き替えていた。どうやら本当に送ってくれるつもりらしい。




「本当にいいの?」
「だから気にすんなって。つーか、今から行っても遅刻だし」




  そうマサキが言ったとき、キーンコーンと授業が始まるチャイムがなった。ほら、とマサキが言うので、私はそれ以上何も言えなかった。騒がしかった廊下と違い、静かな通学路を歩いているとマサキが言った。




「まだしんどい?」
「うーん、少しね」
「……」
「……」
「…え、あー、う、その…」
「何?」
「…いや、あ、え…」
「…どうしたの?」




  何か言いたいことがあるのか、マサキはずーっと、え、あ、やら言っている。マサキの顔を見ると真っ赤で、一体何が言いたいのか分からなかった。




「マサキ?」
「…あー!こうゆうことだよ!」




  突然怒鳴りだしたマサキにびっくりしてると、唇にやわらかいものが当たった。あれ、マサキの顔こんな近くにあったっけ?フリーズした私にマサキは言葉を続ける。




「き、キスしたら、俺にうつって、治るかなぁ、とか、」
「……」
「…名前?」
「……」
「名前!」
「は、はい!」




  大声で呼ばれて肩がびくっとした。と同時に、今されたこと、言われたことをはっきりと理解して、今度は私が、あ、う、と意味不明なことを言う番になった。




「…名前、」
「え、あ、な、何!」
「…お前顔真っ赤だぞ」




  マサキもでしょ、なんて今の私にはマサキに反論する余裕なんてなかった。でも言われっぱなしは悔しいので、風邪のせい!なんてすぐ分かる嘘を言って右手で顔を押さえながら止まっていた足を進めた。









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狩屋くん可愛い

20120106



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