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  髪の毛をばっさり切った。 胸くらいまであった髪の毛が、肩にもつかないほどの短さになったのである。個人的にはけっこう気に入った。前から切りたかったし、スッキリしたからだ。一番最初にマサキに見てもらいたくて、軽くスキップしながらマサキの家へと向かった。




  ピンポーンとインターホンを押して、どんなリアクションするか楽しみだと思いながらドアが開くのを待った。玄関へと近づいてくる足音が聞こえたと思ったら、ガチャとドアが開いて、マサキとばっちり目が合った。案の定、マサキはぽかーんと口を開けたまま止まっていた。数秒間くらい見つめあったあと「ばっさりでしょ?」と私から沈黙を破った。




「けっこう思い切ったな」
「まぁね!どう?」
「…とりあえず、上がれよ」




  部屋へ上がらしてもうと、何か飲み物持ってくる、とマサキがキッチンへと行ってしまった。私はまだ切ったばっかりでキレイな毛先を、くるくると人差し指で絡めながらむすっとした表情をした。



「何も言ってくれないんだから」




  せめてお世辞でも似合ってるくらいは言ってほしかった。自分で気に入っているだけに、余計ショックだ。やっぱり好きな人には褒めてもらいたい。自分勝手だとは思うが、乙女心はそんなものだろう。気持ちが沈みかけていると、マグカップを2つもったマサキが部屋へ入ってきた。




「ココアでいい?」
「………」
「あれ、何か不機嫌?」
「……マサキのバカ」
「え?」




  俺何かした?と言わんばかりと表情に、私はそっぽを向いた。だいたい私がショートにしたのだって、切りたかったのもあるが、サッカー部の人達からマサキはショートの方が好きらしいって聞いたことが一番の理由なのに。一人で怒っていると、ゴホンとマサキが咳払いをして「んー、その、えーっと、あー…」と、いきなり顔を赤くして 、少し下を向きながら何か言い出した。




「あっ、に、に似合ってる」
「え?」
「っ、似合ってるって言ってんの!」
「………」
「あ、え、その…か、可愛いって!」




  赤かった顔をさらに赤くしてそう言ったマサキは俯いてしまった。そんなマサキがすごく可愛くみえて、さっきまでの怒りの感情はどこかへ飛んでいき、つい笑ってしまった。




「っ何笑ってんだよ!」
「だって…」
「………」
「ありがとう、マサキ!」
「つか、前の髪型の名前もよかったけど、俺ショートの方がどっちかってゆーと好きだし、」
「うん、知ってる」




  だからショートにしたの、と言ったらしばらくフリーズしたあと両手で顔をおさえた。




「どうしたの?」
「あーもー、ほんとに」
「?」
「お前可愛いすぎるだろっ!」




  その言葉と同時に、私はマサキの腕の中へ閉じ込められた。









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でも狩屋くんはロングの方が好きなような気がするようなしないような


20120104


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