あの日もいつもと同じように翔兄と近くの海までデートしよう、って約束してた。私たちの初デートの場所。

精一杯お洒落して、翔兄の隣に立つのに恥ずかしくないように。


「翔兄!!」
「おー、ちぃ相変わらず可愛いな」
「へへっ、翔兄に褒めてもらえるようにがんばったんだもーん」
「可愛い可愛い。俺のちぃは誰よりも可愛いよ」
「…なんか投げやり感がある…!?」

ぎゅっと手を繋いで電車が来るのを待つ。

私は翔兄の運転する車も好きだけど、こうやって電車に乗ってどこかに行くのも好きだ。デート、って感じがしてすごくわくわくする。

「あー、海楽しみだねっ!!」
「そうだなぁ。つーかもう付き合って三年も経つんだなー」
「思い出の場所だもんね、私たちの」
「おう、これからも毎年行こーぜ」
「…っ!!もうっ、翔兄の天然タラシ!!!!」


少し時間がたって電車が来る合図が鳴って、二人で笑った。


その時、物凄い力で私の体が線路内に向かって押された。咄嗟のことで翔兄と繋いでいた手も解けて…。

ちぃっ!!!?


線路に落ちた私は、尻もちをついてしまって更に足を捻ってしまったらしい。これじゃあ動けない。
電車は直ぐそこまで来てる。

私を助けようと、線路に下りようとしている翔兄を周りの人が必死で止めている姿が変にスローモーションに見えた。

駄目だよ、今翔兄が来たら翔兄も死んじゃう。

あっけない人生だった。でも、ちゃんと私は…。

「幸せだった、よ。ありがと…!!!!」

最後まで言えなくて、私は電車に吹き飛ばされた。痛みを感じる前に頭が可笑しくなってしまったようで、全く痛くなかった。

私を突き落した犯人くらい考えなくても分かってる。

花音ちゃん。そこまで私が邪魔だったんだね。でも翔兄は渡さないよ、絶対に。


最期まで愛してた

(だからね、翔兄も)
(私を愛死てくれるでしょう??)


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