翔兄とは幼馴染で、恋人同士。私より六歳上なの。いつ好きになったかなんて、正直覚えてないけど。きっと初めて会ったときから惹かれてたんだろうな。
普段は大人っぽくて格好いいのに、たまに見せる子供っぽい笑顔が好き。私だけの呼び名、翔兄って呼ぶと笑いなが「ちぃ」って呼んでくれる声が好き。妹扱いより、恋人扱いの方が好き。料理のできない私に代わって作ってくれるご飯はママの料理より好き。もう挙げたらキリがない位の好きで出来た翔兄。
隠してたんだよ、花音ちゃんに。翔兄は素敵な人だから。きっと花音ちゃんが取っちゃうって、思ったから。高校卒業まで隠せたらよかった。そうしたらね、翔兄と結婚しようって話になってたんだもん。
花音ちゃんが悪いんだよ??私から翔兄を取ろうとするから。
痛いけど叩かれても治るから平気。お気に入りのものを壊されたって、翔兄が慰めてくれるから平気。でも、でもね翔兄だけは…翔君だけは許せなかったんだよ。
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「翔さぁん、花音のことも名前で呼んでくださいよぉ。あんな平凡女よりぃ、花音の方が可愛いですよぅ??」
「あ、はは、困ったなぁ。俺はちぃの恋人だから、ごめんね??っていうか君ってちぃの事叩いたり、ちぃの宝物壊してる子だよね??やめておいた方がいいよ。流石に好きな子の事苛めてるやつには、女の子でも手ぇ挙げちゃうかも…なぁんてね」
にっこりと笑う翔兄。気がすごく長い翔兄だけど、私のことになるとなんで!?って言いたくなるほどに気が短い。
それだけ愛されてるって分かるから嬉しいんだけど。