あれから三年。
私は今もまだ、この無限ループを抜け出せない。
何度も何度も諦めようって思った。
でも、皆が諦めてないなら…。
私が諦めるなんてしちゃいけない、って思う訳なんだよね。
***
五年前、私は帝光中の舞台に立った。
今私は洛山高校の舞台に立っている。
「(前半はシリアスぶったものの、たぶん今回の死に場所はここなんでしょうね。さっきから無駄に慣れてしまった視線を感じますし…)」
中学の時と違うことは、新入生としてではなく最高学年としての挨拶。
舞台には何の障害も無くてっとり早く殺すにはうってつけの場所だ。
なんでそれを分かっていながら毎回毎回私が挨拶しなくちゃなんないんですか…、親の見栄ですかそうですか。
「―――――在校生代表、九頭龍千鶴」
バァン、と音が聞こえたその時私の横の花瓶が割れた。
…っ!!
狙撃手が下手でよかった!!!
「下がっててねー」
「任せましたよ、椿」
中学教師として私の護衛をしていたゆるふわボディーガードは今もなお、私のボディーガードとして働いている。
椿は彼の名前で、中学の卒業式正式なボディーガードになる際に教えてもらった名前だ。
以前とは違い緩いながらも、働くのでよしとしましょうかという流れで今に至っている。
「うりゃぁー」
緩い掛け声とともに、繰り出された蹴りは狙撃手の顔面に当たり一発で気絶する。
「んーあとはぁ、キミだねぇ」
「はっ!?わ、私はなにも…!!」
「ふふふー、同類を見抜けないほど衰えたつもりはないんだよぉ。変に傷つけられたくなかったらぁ、ね。大人しくしようねぇ」
教師に紛れ込んでいたらしい私を狙っていた殺し屋はあっけなく椿に捕まったようだ。
緩さに目を瞑れば本当に有能なボディーガードですこと。