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白色で覆われた病室のベッドに一人の少女はいた。髪も肌も服も、すべてが白くこの景色に同化してしまいそうなそんな少女。


少女は、笑う。それ以外の感情が無くなってしまったかのように。


「ねぇ、×××」
「なんだ」
「もし、わたしが×××のこと忘れちゃったらもう…死なせてね。大好きな物も人も、思い出だって忘れて生きていける程わたしは図太くないの」


もう、時間がないと思うから。


少女は笑う。目の前にいる灰色の少年に精一杯の強がりの意味を込めて。


「死ぬのは、怖いこと。でもね、わたしはそれ以上に大好きの気持ちを忘れちゃうことのほうが…怖いの」
「…っ!忘れ、させねぇよ…」
「ふふっ、ありがとう。最期までいっぱい迷惑かけるよね。×××がいなくちゃわたし生きてけないやぁ」
「大丈夫だから、お前を死なせないから!!そんな最期なんて言うんじゃねぇよ、馬鹿!」


灰色の少年は涙を流す。もう時間がないことなんて、少女以上に理解している。ただ理解したくないだけだ。すべてを受け入れるには少年は幼すぎた。


「×××、愛してるよ」
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