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う、わ大会前なのに風邪引いたのか…!?激ダサ過ぎるだろ俺ぇっ!!いや、でも待てよ?風邪ってそんな瞬間的なものだったか?顔は驚く位に熱いし、心臓はドキドキと煩い。でもふらつかないし、辛くもない。
日吉を見た時だけに心臓がどくり、と高鳴る。くそ、岳人に相談してみるか…。大会前に妙な病気に掛かっちまったら跡部がうるせぇからな!


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あの出来事から数日。幼馴染みである向日岳人に妙な現象について話すとかなり呆れた顔をされた。しかも散々馬鹿にしたあとは、「お前が気づかなくちゃ意味ねーよ、ぷっ」と訳の分からない言葉を貰った。
気付く?なにをだ?まさか夜に布団を掛けずに寝ているのがいけないのだろうか?いやいや、そんなつまらないことで岳人があんなに大爆笑する訳がない。


「あー、わかんね…ってん?」


目の前には数日前に見た日吉がいた。また、だ。痛いくらいに心臓が高鳴る。痛いけど、なんか嫌じゃない痛みというか…?そうだ、本人に聞いてしまえば早いんじゃないか。俺の馬鹿野郎。


「ぁ、あのひ、ひよ…「日吉さん、お時間宜しいでしょうか?」…誰だよ!」


きらきらと一般的には美人と言われるような容姿の少女が、数人の仲間を連れて日吉を取り囲んでいた。有無を言わせない状況。誰が見てもいじめのような、そんな状況。


「…な、なんで、すか…?」
「貴女にお訊きしたいことがありまして。着いてきて下さいます?」
「むぅ…嫌と、言った…ら、どうす、るの…?」
「ふん、私たちが貴女程度の庶民の言うことを聞くとでも?まぁ、良いわ。単刀直入に聞きます、貴女天城院様に取り入る気なら止めて下さる?どう『氷姫』を手懐けたのかは分かりませんが、貴女程度の人間が天城院様に近付くだけで天城院の名が汚れますの」


金持ちによくある庶民への偏見。テニス部に入ってレギュラーになったとき俺もやられた。女生徒の言葉に俯いた日吉は泣いているかのように震えている。
た、助けたほうがいいのか…?元々内気な性格っぽいし、あんな派手な奴らに言い返すなんて出来ないだろう。


足を一歩彼女たちに向けて進んだとき、俺は自分の目を疑った。二回目だが疑うしかない。


「ふ、ふふふっ」


一瞬誰の声だか分からなかった。鈴を転がしたような、でも冷たさを含んだ声…そうまるで『氷』。下手すりゃ天城院よりも冷ややかな目だ。


「な、なにが可笑しいのですか!?」
「うにゃ、別に…可笑しくなんて、ない、よ?ただ、少し…だけ、馬鹿らしいな、ぁって。思った、だけ…だよ?」
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