数秒の無言。三成は、なにもしゃべらない。

呆れられた?嫌われた?軽蔑された?秀吉たちが死んでも、自分が嫌われるのも殺されるのも怖い私を突き放すのかな?

「慶次」
「…っ、な、に?」
「泣け、と言ったが訂正する。泣くな、貴様には馬鹿みたいに明るい笑顔がよく似合う。私とは正反対な太陽の笑顔で、笑え。貴様がそうやって笑んでくれるのを知っているから、私は、私は…。貴様をいらない存在だと思わないし、この世界に来てくれて嬉しく思う。だから、貴様は自分を否定するな。私たちが貴様を慕っているのを、否定するな」
「みつ、なり」
「笑んで欲しい。私は、秀吉様や半兵衛様のように昔の貴様を知らない。おりじなるやこぴぃ等意味もわからない。だが初めて会った時、今まで過ごしてきた時…そして今。貴様が貴様でなかった時などあるか?おりじなるが正しいと誰が言った?私の目の前にいる貴様は、偽物か?」
「ち、違う!前田慶次<コピー>だけど俺はこの世界で、ずっと俺で私だった!!前田慶次<コピー>だし、棗だ。今までも、これからも…それは絶対に変わらない」


あぁ、そうか。答えはこんなにも簡単なことだったんだ。
いつ三成が刑部が秀吉が半兵衛が、俺を否定しただろう?それこそ有り得ねぇ。からからわれてばかりだったけど、確かに俺を俺として見てくれてた。
必要と…してくれていた!すがっても泣いても、何があっても俺を支えてくれていた。信じてくれていた。

「は、ははっ。なぁんだ、簡単じゃん。俺は棗で、前田慶次<コピー>だ。だけど俺はお前らが大好きだ。その気持ちは俺の、俺だけの物で…。ありがとう、三成!」

俺は三成が好きだという笑顔で笑った。
なぁ、三成。泣きたい時にすがってもいいかな?弱い俺を認めてくれるのかな?今でも少し怖いけど、家族だから。無条件で信じられるものだから。信じるよ、三成。



涙の代わりに笑顔の華を咲かそうか

(前に進め)
(愛しい家族が側にいる限り!)

To Be Continue…?


<< >>


「#オメガバース」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -