明らかについさっき、人を殺してきました。というような真新しい血の臭い。多少なりとは雨で軽減されているが、気配や臭いに敏感な俺にはキツすぎるくらいだ。

あは、あはは…。有り得ねぇよなぁ、家康?お前ごときが秀吉と半兵衛を殺すだなんて。
信じてはいないぜ?俺は俺の秘密を知ってる五人以外の人間に気を許す気はないし、優しさを持ち合わせる気も…ねえ!


「はっ!」
「ははっ、慶次いきなりどうしたんだ?お前はそんなに喧嘩をするような性格じゃなかったと記憶しているが?」
「そうだな、喧嘩は嫌いだよ。戦は好きだけどな。なぁ、家康…お前ごときに理解出来るとも、理解すらもされたくないけど言ってやる!!」


家康の武器と俺の武器が交差する。火花が散って家康と俺の距離は十センチ程だろうか…?
攻撃の手を休めずに息を吸い怒鳴り散らす。


「俺は、私の家族を傷付けた人間に復讐しますです!赦しませんのです、死を持ってしても償わせてあげるのです!理不尽に最低で最悪で、不愉快な復讐劇なのです!!私の私利私欲で貴方の命を奪いますですの!私は前田慶次<オリジナル>とは違う。暴力の限りを尽くして貴方に理不尽な死を!!」

前田慶次<オリジナル>程私は優しくないのです。だって私は如月棗。如月家次女、家族が大好きな姉の妹なのです。姉を見て育ってきたのですから、家族愛は狂おしい程強いのですよ?

さぁ、復讐を始めよう。如月家は家族を傷付けた人間には、容赦無しなのです。

「ははははっ!貴方の仲間になんてぜぇったいなってやんないし、俺は三成と刑部の家族だ!裏切るなんて低俗な真似、死んでもするわけないだろう?貴様はそれすらも分からなくなったのか、あぁそもそも貴様には理解するための頭すら存在していなかったか!いやぁ滑稽滑稽!なんて愉快なんだろうか!手を組むだなんて不愉快な台詞を口に出さないでくれよ?思わず究極婆沙羅技を繰り出しそうになる!!」
「三成はワシに勝てん。そうしたらお前は死ぬことになる、それでもいいのか?」


余裕寂々な瞳で問い掛ける家康。あぁ、馬鹿だなぁ不愉快だなぁっ!吹っ切れた俺にはもう自重って言葉はねぇぜ?最後を決めたなら幸せじゃなくても、家族だけでも幸せになれる道を見付けたんだからよぉ!


「ひゃははっ、有り得ねぇな!そもそも三成は俺が守る。貴様ごときが近付いてもいい存在じゃねぇんだよ、屑が!笑いすぎて腹筋崩壊しそうだぜぇっ!有り得ねえ、有り得ねぇ!?この俺が生きている限り、三成たちには指一本触れさせやしねぇよ」

かきんっ、と武器を弾き返され距離をとる。
ん、冷静になった。少し昔の性格に戻りつつあるが、気にすることは無いんだろう。


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