「な、ななに言ってんですか、刑部サン…!俺が嘘なんて吐くわけないじゃん!」
「慶次くん、動揺しすぎだよ」
「ヒハッ、ぬしは本当に隠し事が出来ぬナァ」

楽しそうだなどSコンビよ!あー、もうっ!


「あ、あのな、三成!嘘つきたくて言った訳じゃなくて!!あーぅー!」

わたわたと慌てて言い訳しようとするけど、全然言い訳が思い付かない。三成は嘘が嫌いだからまじやばい!
でも話したくないんだもん!前世の容姿ってある意味コンプレックスだったりしちゃうから!!えぇ、俺の尊敬する人の容姿をあげましたがなにか!?

あーぅ、と言葉にならない音を呟いていると不意にあることに気が付いた。


「なんで刑部が違うって分かったんだ!?あり得ないかもだけど全力否定だったよな、ねぇなんで!」

そう。前世の容姿は誰にも話していないのに、刑部は明らかに確信を持って否定してきた。なんで、ねぇなんで!?


「われの婆裟羅の力故によ、ユエニ」
「え、なにそれ。プライバシーの侵害にも程がありませんか?ってか知ってんの、見たの、記憶しってんのぉぉぉぉおっ!」

やだやだやだっ!昔は駄目なんだって!嫌いだもん、自分の容姿。家族の誰にも似てないんだもん…。


「ぅ、うぅぅぅ…」
「なっ、慶次!?おい刑部、け、慶次がっ!」
「余程嫌だったようだナァ…。ほれ慶次、泣き止みやれ、三成が心配しよる」

ふるふる。首を振って顔も隠す。男泣きだー。気持ち悪ぃ。自分が情けなすぎて気持ち悪ぃ。

「…ぅ、昔の容姿は嫌いなんだよ…。弟とも妹とも親父とも母さんとも…ゆっちゃんとも似てない、から」
「?誰だ」
「前の家族。弟はヘタレの癖に無駄にイケメンだし、妹はチビっちゃいし性格悪い癖に見た目は可愛いし!ゆっちゃんなんてもう神々しいと言えるほど美人で、つか美しいっていう言葉はゆっちゃんの為だけに使われる言葉って言われても信じられる位だし!ゆっちゃんは料理上手いし、性格いいし、優しいし…び、美人だし…。全く俺と似てない、もん」


うがー!!ともうやけくそになって叫び逃げ出そうとする。すると三成が着物の裾を掴み盛大に転んだ。

「ぬぁぁぁあっ!み、三成ぃ、今俺すっげぇ恥ずかしいの!ここにいんのが恥ずかしい、だから逃げさせてぇぇえっ!」
「逃げることは許可しない。前がどうであれ貴様は貴様だろう、なにを恥ずかしがることがある」
「むしろ今の方がおなごらしかったりしてねぇ。そこのところ、どうなんだい?」

「うぐっ!!…そうですよ、引きこもりなめんじゃねーのですよぉぉぉおおっ!弟に家事は任せてたんですよ、ゆっちゃんに言われなかったら手伝いもしねぇですよ!なんか文句あるですかー!!」

ついつい昔の言葉遣いに戻ってしまった。たしか、ねねが死んでからだっけ?今の口調になったの。
自分なりのけじめというか、なんだろな。分かんね。

てか今でもするりとこの口調が出たことに驚きだ。だいぶ今の口調で慣れてたのに。それほどパニくってるってことだけど。

「…っ、秀吉のとこいってくゆっ!」

噛んだ!!でも気にしてられるかぁっ!

ずだだだだだだっ!と足音を鳴らしながら秀吉の部屋とは逆方向にダッシュする。
あーうん、鍛練しようそうしよう。取り敢えず今日の出来事は記憶から消そう、それが一番いい!


恥ずかしいやら懐かしいやら、散々で

(はやくはやくっ)
(引けよ頬の赤み!)

To Be Continue…?


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