三成と地獄の鬼ごっこをしながら辿り着いた場所…それは。






「やぁ、三成くんいらっしゃい」
「なっ!半兵衛様ぁっ!?」

療養中の半兵衛の小さな屋敷だ。まぁ、小さいと言ってもそこら辺の大名の屋敷よりは大きいがな。

「三成、周りをよく見ろ。半兵衛だけじゃないだろ?」
「ま、まさか!?」

そのまさかだよ、三成くん。

「…ご苦労であった」


ずぅーんと、小さな子どもが見たら泣き出しそうな程に無表情な秀吉がそこにはいた。

そう、俺の計画とは。
最近三成に構っていないこいつらとお茶会でもしようかと仕組んでみたことだ。因みにもう一人は仕事の関係上こちらにはいないが、後で甘味を持っていく約束をした。

「最近三成疲れてるだろ?秀吉が心配してるから一緒に甘味でも食べてゆっくりしようぜ!とゆー企画なんだよ。驚いた、なぁ驚いた?驚いたよなー勿論!」

三成の驚き狼狽えた表情が可笑しくて、ついついテンションが可笑しくなってしまった。俺、まじ痛い子。

「き、貴様…っ!?秀吉様と半兵衛様のお手を煩わせるなど、いいと思っているのか!!それに半兵衛様は療養中の身、迷惑をかけるな慶次っ!」
「はんべーが会いたいっt「それを早く言わぬかっ!」…ゆー前に三成が遮ったんだろ…」

ははは、息子同然に可愛がってる三成に全否定されるなんて…俺、どうなんだろう?まぁ、半兵衛も秀吉も…勿論三成も喜んでくれてるからいいんだ、いいんだよぉぉぉぉぉおおおっ!
ぐすん、泣いてないもん。


ぐすぐすと鼻を鳴らしていると、三成と半兵衛からのかなり冷たい視線を感じた。
大の男が拗ねてるのは目に毒ってか、ひでぇ…。

「ま、まぁっ!甘味食おうぜ、早く食わねぇと不味くなっちまうよなうん!」
「君の手作りかい?」
「あったりめぇよ!」

三成からの要望だからな、張り切った!!と笑って言うと、“君は本当に三成くんの母君のようだね"と言われた。
だから、何度もいってるけど…前世はどうであれ今は男なの。
母君って呼ばれて嬉しいわけないだろ!
父上って呼ばれたいよ、三成と刑部に!

「き、貴様は何を口走っている!!貴様のような父上など絶対に、絶対にいらぬっ!」
「えっ、三成ひどいっ!? 誰が食事に甘味用意してると思ってんだ、このやろー」

うりゃ、と小さな掛け声をして三成に飛びかかる。
そして、三成の特徴的な髪型をぐしゃぐしゃになるまで撫で回してやる。 時折“やめろ"と声をあげる三成だか、力で俺に敵う訳がない。

スピード勝負は勝てる気はしないが、パワー勝負なら絶対に負けない自信がある!

満足いくまで撫で回した後、ゆっくりと甘味を食べる(因みに今日はみたらし団子とあんこの団子)。ぐったりと撫で回された疲れが見える三成だが、団子を渡すと元気になった。
単純な奴め、可愛いぞちくしょう。


軍師や大将や兵士がもちもちと向かい合って団子を食べる姿は奇妙なものだ、と密かに思う。
まず、身分が違う。
普通の軍なら、例え軍師と大将のお気に入りでもここまで贔屓にはしないだろうな。

だけど豊臣は俺らのことを家族だって思ってくれてる。
だからこうやって皆で甘味を食べたり、食事をしたりできるんだ。

俺はこの場所でずーっと居たい。
前の世には全く未練がないと言えば嘘になるけど、こっちの方が大切だ。
姉貴と愚弟と愚妹には悪いが、俺は俺で楽しませて貰うぜ。

あぁ、でもあいつらと戦えねぇや。
大嫌いな世界で唯一大好きなやつらだからな!


If I tell a favorite person (大好きな人へ伝えるとすれば)

(とびきりの笑顔で)
(精一杯のありがとう、なんてな)


To Be Continue…?


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