どうも詩織ちゃんです。
今日は翔一の馬鹿が珍しく風邪をひいたのでこのわたしが直々に看病しています。
「つー訳でさっさとお粥食べて薬飲んで寝てろよ、馬鹿翔。高校生にもなって薬飲むのやだとか言ったらお前の黒歴史ばらすぞ」
「病人には優しく接しよーや詩織…。ちゅーか食欲ないし…」
「無理やりにでも食わすぞ」
「やめぇ、リアル嘔吐する」
いつもの飄々とした笑顔と違いかなり真っ青な翔の顔を見て本当に辛いんだ、と思った。翔は普段風邪ひかない癖に一回ひくとタチが悪い。
まこちゃんと和くんはこういう翔を見慣れていないから、少し引いてしまう。わたしは何度か風邪で倒れた翔を見たことがあるから、面倒くささは感じてもあまり違和感は感じない。
「ていうかさー、わざわざわたしの家来る必要あったの??しんどいなら寮の友達とか、寮母さんにでも見てもらえばいいのに…。わたしが練習で居なかったら風邪悪化させるだけなんだよ??」
「…おる思たから、来た。詩織以外にこんな弱った姿見せられへんわ…」
「気持ち悪い、翔」
布団にくるまりボソボソと話す翔は完全に弱り切っている。
「気持ち悪いって…。そこは『翔、そんなにわたしを頼って…!(トゥンク』ってくるとこやろ…」
「本気で気持ち悪いから止めてくれる??」
あ、こいつお粥食べる気も薬飲む気もねーな。
翔は自分の弱った姿を周りに見せようとしない。特に自分に近い人間には頑なに見せようとしない。正直なんでそんなに気ぃ張って生きてるの??と問いたくなるほどにはうっとおしい。最後には自己解決して自分を殺してんだからうざったい。
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