***
という訳で天城院さんと望まないお茶をしている訳なのであります。

美味しいはずのタルトもコーヒーも味がしない。空気が冷たい。楽しくなーい!!


おれは腹の探り合いとか苦手なの!!親父にも向いてないって言われてるし、おれ自身もぶん殴る方が好きだから!!



「何度も言いますが、その反応は良いお返事が頂けないと解釈しても??」
「んー、別に。おれ一応ボディーガードやっててさ、あんた程度なら余裕で逃げるなり戦うなり出来るんだけど。あぁ、あんたもボディーガード付けてんのは知ってるよ。でもさ、成人男性が幼い見た目の少女を捕らえてるって外聞き悪くない??それを指示しているのが天城院家のおじょーさまってバレたらやばくなーい??」
「脅し、ですか。そんなものに私が屈するとでもお思いですか」


全く思ってねーよ。
あーもう、詩織ちゃんってば面倒なのに好かれるよね。兎ちゃん然りおれ然り。


「…腹の探り合いとか嫌いだし、早く帰りたいから簡単に答えるけど詩織ちゃんとの関係はただの幼馴染だよ。それ以上でも以下でもない。これでいい訳??」
「詩織は、私の親友です。貴方達のことを聞いたことが、ありませんでした。私は、詩織の唯一の絶対でなくてはならないのです。はっきりいって邪魔なんですよあなた達は!!私がこんなに詩織のことを思っているのになんで…詩織には私以外の人間が周りにいるんでしょうか??」


うふ、うふふふふふふ…と暗い声で笑う姿は一種のホラーだった。
室内の温度がマイナスにまで下がった気がする。あとそこら中からラップ音??みたいなのが聞こえてきてる。


此処でヒステリックに怒鳴り散らす方が対処しやすいし、分かりやすいんだけどな。


「あんたはさぁ詩織ちゃんの何になりたいわけ??言っておくけど詩織ちゃんってこういう詮索大っ嫌いだよ。詩織ちゃんが好きなら、そこら辺の線引きくらいしなくちゃ。昔それやって一か月口きいてもらえなかった奴知ってるし、さ」


おれなんですけどねー、あははははは…。
詩織ちゃんのマジキレヤバかった。あの一か月は本当に生きた気が一切しなかったもん。


「…詩織が、私を嫌いにな…る??」


目線をそらしながらコーヒーを飲んでいると天城院さんは顔を真っ青にして急いで席を立った。


「申し訳ありませんわ!!用事を思い出しましたので帰らせていただきます!!…このことは他言無用、ということにして頂けると私とっても嬉しいですわ。では、失礼致します」


ぺこりと丁寧なお辞儀をして帰って行った天城院さんを見送ってから残りのケーキを咀嚼した。


もぐもぐ、ごっくん。


「ほーんと罪な子だよなぁ詩織ちゃんって」


そんなとこも大好きなんですけどねぇ。



守りたい人と独占したい人


(ベクトルは違うけど)
(その対象と思いはおんなじなんだよ)



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