依存と共存 | ナノ
「なら今度一緒にいこーね」
他人用に張り付けた笑顔ではなく本心から笑う。いやだってテツヤくんは二年間見てきたし、他人じゃないじゃーん。
「そうそうりっちゃん、私用事あるから帰るね。タオルとドリンク、置いていくから片付けといてー。ばいちゃ!!」
「ちょっと月っ!!」
あーあーきこえなーい。
鞄からヘッドホンを取り出してウォークマンに接続!!ちなみにヘッドホンの色は薄い紫と少し濃い緑のアクセントが入っている。私のお気に入り。
「あーあ、一日で猫かぶりばれちゃった。つまんないなぁ」
バスケなんて競技関わんなければよかった。そうすればこんなにしんどい思いしなかったのに。
それでもこうやってストバスにきちゃうのはどうしてなんだろうねぇ。
制服を脱いでパーカーをはおる。靴はローファーから赤いラインの入ったバッシュに履き替えて。
おいっちにーさんしっ。
「よし、はじめよう!!」
ふざけた話だけど、やっぱり私はバスケが好きだ。
***
無心で基礎練習をこなしていると何時に間にやら空は黒くなっていた。
「…やりすぎた、かな」
もう少しで部活帰りの生徒が何人かここを通る。その前に帰らなくちゃ。
「あれ、月先輩??」
「ん、んん??テツヤくんだ。なにしてるの??あとついでに後ろのオトコノコはなんで殺気ビンビンなの、月ちゃん先輩怖いんだけどー」
「まったく思っていませんよね」
「うん」
けらけら私は何が楽しいのか分かんないけど笑う。久しぶりに後輩に出会ってテンションハイになっちゃってんのかな。
こんな姿先輩とか他の後輩に見せたくないなぁ。絶対からかわれるよ。
「さっさとやんぞ黒子」
「えぇ、分かりました」
「1対1するの??いーな、あとで私も混ぜてー」
面白い眉毛をした少年、んん??高校生は少年なのかな??
まぁ名前で呼んでおこうか、火神くんはテツヤくんを強いと思ってんのかな。見る目ないんだねー。
もちろん結果はテツヤくんの惨敗。相っ変わらずドが付くほど下手なんだから、もう。
ダンクで目ぇキラキラさせちゃって。帝光で散々見てたでしょうが。
「オマエ、バスケやめた方がいいよ」
ぎぃぐぐっ!!
耳が痛いなぁ。私に言われるみたい、なぁんて。
「オマエにバスケの才能はねぇ」
ぐぁういやぅう!!
聞きたくないなー、だからさ黙らそうか…。
「月先輩ダメですっ!!」
「…才能、才能。天才サマがそんなに偉いんだぁ。才能がなくちゃバスケしちゃダメなんだ、私初めて知ったよ。ありがとう、滑稽すぎて笑えちゃうけどね。君の論理なら世界でバスケやってる子たちのほとんどがダメだねぇ。きゃは、きゃはははははははははあははははははっ。
まじうぜぇんだよ」
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