依存と共存 | ナノ






「…ぅ、わっ」


足元を見ていなかったせいで受け身をとれず顔面から地面へダイブした。


「ぃ…っ」


擦り剥いたらしいおでこと膝が痛い。でもそれ以上に…心臓が、心が痛いっ!!


「分かってたはずなのに、耐えられると思ってたのに…っ」


あの目が怖かった。
自分たちが被害者だって思うのは違う。逆に加害者って言うのも、違う気がする。


でも彼にとっては、あの子の幼馴染である高尾くんにとっては私たちが弱かったせいであの子がボロボロになってバスケができなくなって…死にかけた。


「詩織、ちゃん」


あの子は、詩織ちゃんは私たちのことを恨んでいるのかな。
もう二度とあの声で厭味ったらしく『センパイ』って呼んでもらえないのかな…。


「う、ぅぅぅうううっ…っ」


泣かない、よ。辛いのは詩織ちゃんだ、彼女と彼女の幼馴染と彼女の親友と、彼女の恋人の方が辛い。
私なんて泣く資格すら与えられていない、後悔することすらおこがましい。


泣きだしそうな、そんな気分を無理やり隠してりっちゃんに連絡を取ろうとスマホを手に取ると夥しいほどの着信が入っていた。


「ひぃっ!!ちょ、ちょっと待って。冷静になろう、日向とりっちゃんの着信多いんだけど、やばい逆エビの刑!?なにそれ、テツヤくんもいないって…!!私がうだうだ悩んでたあの時間にどんだけのことが起こってるの??」


もう!!
感傷に浸る暇もないのかよ!!


「テツヤくんなら…ストバスかっ!!」


ヒリヒリ痛む膝を無視して思いっきり走った。



***
「――――そんなバスケはないと思います。何より暴力はダメです」


い、たーーーーーーー!!!!
何不良に絡んでるの、何でか黄色もいるし!!


「5対3でいーぜ。かかってこいよ」
「なんだとっ…!!」


ぜぇぜぇ、整わない息を整えているうちに試合は終わってた。
いや、瞬殺すぎでしょ。
あの不良今思い出したけど、明常学院の生徒でしょ。しかもレギュラーじゃないの…??


「てめ…っ!!」
「はいはーい、そこまでだよぉ??」
「七瀬サン!?なんでここに??」


黄色うるさい。


「ねぇ、一応話し合いで解決できるならとーっても嬉しいけど…さぁ」
「ひっ…」
「あなた達、高校生でしょ??もし、バスケじゃ物足りないなら…ちょこーっとだけ遊んであげるよぉ」


にっこり笑って見せると明常学院の不良モドキは顔を真っ青にして逃げて行った。


「テツヤくーん。なに喧嘩売ってんの、馬鹿なの??喧嘩に持ち込まれたら不利なのはこっちなんだよ。やるならバレないようにぶっとばしなさい」
「すいません…」
「いや、ツッコむとこ違くねぇか!?」


「あーもう、




少しくらい悲しい気持ちを引きずらせてよ!!








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