依存と共存 | ナノ






「…ひゅーが、伊月くん、水戸部くん、コガくん…テツヤくんが抜けて戦力はガタ落ちすると思う。でも、諦めないでよね。諦めた奴は、カッター&コンパスの刑だから」


クラッチタイムに入っている日向は笑う。


「舐めてんじゃねぇよ、ダァホ。お前こそ諦めてんじゃねぇよ」
「カッターを買ったー…うーんあんまりキテないなぁ…。ま、俺ら諦め悪いから大丈夫だよ」
「そーだよ!!諦める気なんてないって水戸部も言ってる!!」
「……(コクコク」

「きゃは、そー言えばそうだったね。信じてるよ」


にこりと猫かぶりじゃない、本心からの笑顔で彼らを送り出す。
大丈夫、絶対に大丈夫。


2Qの途中でクラッチタイムに入るのは珍しい。
でも、伊達に去年少ない人数で決勝まで行ったわけじゃない。


日向のシュート力を生かして周りが支える。
これが今の誠凛が出来る精一杯の作戦だけど…。


「このままじゃジリ貧になるだけ、どうしよう??」
「でも前半のハイペースで策とか仕掛けるような体力残ってないのよ…。せめて黒子君がいてくれたら…」
「だめっ!!頭にけがしてるんだよ!?悪化したらどうするの!!今いるメンバーの最善じゃないと…」


テツヤくんがいればもっと点差は縮まる。
それは断言できる。
でも、もしものことがあったら??


「やだ、だめだよ…」
「…大丈夫です、月先輩。カントク分かりました。おはようございます、じゃ…行ってきます」


むくりと起きたテツヤくんは立ちあがってコートに向かった。




なんで無茶をするのを止めてくれないの??



わたしはきみたちにきずついてほしくないのに…






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