依存と共存 | ナノ






「そ、それはそうだけど…」
「りっちゃんは生徒だけどカントクなんでしょ??一時のイラつきで折角の強豪校と試合できるチャンスを逃すの??」
「………」


出来るだけ真面目に、真剣な顔で言う。
りっちゃんは黙って少しだけ私たちの声は途切れる。


数秒経ったときこの空気をぶち壊す声が聞こえた。


「ぶはっwwww」
「…笑わないで下さいよ、先輩」
「わ、わりぃwww」

人が真面目な話をしているときにこの先輩は!!


一之瀬柚葉先輩。
海常高校男子バスケットボール部のマネージャー。
私が帝光にいたときの女子バスケットボール部のキャプテン。
中学卒業時は175pだった身長が高校三年間でさらに伸びて179p。


海常のキャプテンである笠松幸男さんと中学三年生からお付き合い中である。羨ましいねぇ。


「あー、誠凛のカントクさん??ウチの監督の言い方悪くてごめんな。監督頭かってーの。女の子に対しての扱いがなってないっつの、まったく。だから今でも独身なんだよ、なー幸男」
「…ツッコまねーぞ。月、久しぶりだな」
「はい、お久しぶりです幸さん」


そして相変わらず女の子苦手なんですね、とは声に出さず笑顔で答える。


「まー、最初っから黄瀬は出ねぇし片面だしでムカつくかもしんね―けどさぁ…。







黄瀬抜きのメンバー馬鹿にしてんじゃねーぞ、誠凛」



おうふ。


流石幸さん大好き柚葉先輩。馬鹿にされたの許せなかったんだね。
いや私も幸さん好きだから(もちろんライク)みんなの態度はちょっとヤだったけどね。



若干空気になりかけの武内監督の声で私たちは更衣室に向かう。
その途中、テツヤくんが宣戦布告をする。
りっちゃんもまるで示し合わせていたかのように続く。


「アップはしといて下さい。出番待つとかないんで…」
「あの…スイマセン。調整とかそーゆーのはちょっとムリかと…」


「「そんなヨユーはすぐなくなると思いますよ」」


声揃いすぎー。
練習でもしてたのかな、まったく。


まぁ、私もちょっと思うところはあったし…一丁宣戦布告をしようかね。


「せんぱぁい」
「あ??なんだよ…」
「あはー、舐めてんじゃねーですよ…ってそちらの監督に伝えてもらえます??」
「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwつ、つた…伝えといてwwwやるよwwwwwwww」
「笑いすぎです」
「でもその代り今より面白いことしろよ??監督をギャフンと言わせるようなことで」
「んー、出来るか分かりませんが分かりました」
「おう、楽しみにしてるぜ」


柚葉先輩の笑いをとれる方法か…。



「ま、なんとかなるかなー??」


にやりと私は笑った。






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