私は貴方がいいのです(月と花宮)
***中学時代の月と花宮***
「ねぇ、真」
「…なんだよ」
「『私は貴方がいいのです』って曲知ってる??」
「知らねーな、どんな曲だ」
「著作権に関わるから私の口からは言えないなぁ〜。気になる人は検索掛けてみてねっ!!」
「メタいし、どこに向かって話してんだよ!!??」
「んー、なーいしょ!!マコちゃん嫉妬しちゃってんのー??顔赤いしぃ」
「うっせーよ、バァカ!!」
「きゃはははははっ、図星だしぃ!!」
ぎゅうっと、真の体を抱きしめながらメロディーを紡ぐ。
私の大好きな曲。
コレを聞いたとき照れ屋な私の彼氏サマはどんな反応をしてくれるんだろう??
それを思うだけで笑顔が絶えない。
歌い終わると真は自分の顔を隠していた。
でも、真の顔はわざわざ正面から見るまでもなく耳まで真っ赤で私は笑った。
「この曲ね、聞いたらいっつも真が浮かんでくるんだよね。ベタ惚れだ、笑っちゃうね」
「……、もうしゃべんな…」
「真が好きなのは詩織ちゃんみたいに大人しくて可愛い子だし、私は詩織ちゃんみたいに真の好きな物も作ってあげらんない。それに……」
「…なんだよ」
「真を失望させるくらいに弱い。真が何か悩んでても詩織ちゃんみたいにスグ助けてあげられない。もしも真がいつか詩織ちゃんに頼れなくって、自分だけで答えを出さなくちゃいけない時私は、間違ったことをしてしまうかもしれない」
「間違えたこと教えてもお前ならぶん殴って怒りそうだけど…っ!!」
「うるさい、話の腰を折らないでくれる??」
からかう様な真の声にムカついて一回殴る。
勿論手加減なしだよ。
「いや、だってさ…。お前は月で、詩織は詩織だろ??なにをごちゃごちゃ考えてんだバァカ。あいつにどんな劣等感抱いてるのかは知らね―けど、妹と…こ、恋人を!!比べるのは間違いだろ……」
「……自分で言って照れないでよ。もう、私の考えを『バァカ』の一言で終わらせるとか…悩んでたのが馬鹿みたい」
いやお前は馬鹿だろ、と無駄口をたたく彼にヘッドロックをかけながら私は赤くなった頬を隠す。
貴方で、じゃなくて貴方が『貴方がいなくちゃダメなんです』って本当にそのまんま私のことじゃない!!
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