デートともいえない何か(千鶴と黛)


「明日練習休みだしデートするか」

と彼はいつものようになんてことない声で言った。部員が多数残っている体育館だった故に、ワンテンポ遅れて大絶叫が体育館中に響いた。


「あ、相変わらず空気読みませんよね…。まあ私も用事はありませんし、千尋さえ大丈夫でしたらいいですよ」
「俺から誘ってんだからいいに決まってるだろ。なら外出届出して10:00に校門前に集合な」
「わかりました。夜更かしして寝坊しないでくださいね?」

周りの空気も気にせず近づいてきた千尋は私の頬に軽い口づけを落とし、部室に消えていった。本日二回目の大絶叫が響いたことは、言うまでもない。



「く、九頭龍さん!!あなた黛さんと付き合ってたの!?征ちゃんとは!?」
「黛サン何であんな堂々とき、キスしてんの!?」
「…………(ブワッ」
「赤司泣いてんぞ。…腹減った」


一気に巨人兵(うち一人は平均)に囲まれてむさくるしい。私は千尋がいるからまだ部活に参加しているのであって、あなたたちには何の興味もないんだけど…。


「実渕さん、千尋とはWC以降堂々と付き合うようになったんですよ。ちなみにお互いの家にも挨拶済みです。葉山さん、千尋はアレでも手が早く独占欲が強いんです。よく部活終わりまで我慢できたなって私は驚きました。赤司さん、正式に婚約破棄を行ったのは伝わっていますよね??なぜそんなにショックを受けているんですか??…根武谷さんは早く食堂に行かれてはどうですか」

私は質問に淡々と答えを返す。何度も言うようで悪いけどWCまで残ったのは復讐のためだし、私の可愛い後輩を傷付けた人たちとなんて部活以外じゃ話したくないの。あぁ、無駄な時間を過ごしてしまう。


むすっとした顔を隠そうとしないでいると体育館の扉が開き、不機嫌な空気を隠そうともしない千尋が立っていた。


「千鶴…」
「はいはい、相変わらず嫉妬深いんですねぇ」
「うるさい。なんでこいつらに絡まれてるんだ」
「千尋が堂々とデートに誘ったりキスしたりするからでしょう?後先考えず空気を読まず行動するからこうなるんですよ」
「…そうでもしないとおまえはすぐにあいつらのところに行くだろ…」


不機嫌な様子を隠さない千尋を見て、ポーカーフェイスが崩れるのを隠し切れない。私の恋人本当に可愛いです。男性に使う言葉ではないのかもしれませんが正直その言葉しか思いつきません!!
思わず抱き着くと千尋は驚いたような顔をしながら抱きしめ返してくれた。そのまま二人で抱きしめ合い、離れても手を繋ぎながら体育館を出る。ドアを閉める前にふと思い出す。


「あなたたち、レギュラーだからって目上に対して敬語を使わないなんて社会に出た時に苦労しますよ?せめて先生や先輩には正しい敬語を使いなさい」


それだけ言ってドアを閉める。それから千尋とどうなったかなんて、聞くだけ野暮ですよ。

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