最悪な出会い(優花と詩織)


わたしこと三浦優花はいじめられている。
父譲りのプラチナの髪にアクアブルーの瞳。染めてもいないのに文句を言われ、酷い時には暴力さえ振るわれる。痛くて痛くて堪らないけど、誰かに言うともっと被害が広がりそうで耐えることしかわたしにはできない。

そうして今日も、わたしは俯いて歩く。きっと、これからも。



***
お昼休み。一緒にご飯を食べる相手なんていないわたしは人の少ない場所に行く。少しでも人の視線を感じないところへ。

黙々とあまり味のしないご飯を食べていると、ふと周りが暗くなった。顔を少しだけ上げてみると、普段からわたしをいじめてくる人たちがわたしを睨んでいた。


「あんたさえいなければ…っ!」

その中の一人が手を振りかぶった。わたしは避けることすら諦めて、ただ来る衝撃に備えて目をぎゅっと瞑った。


パシッと短い音がしたはずなのに、慣れてしまったあの痛みはやってこない。恐る恐る目を開けると小さな女の子がいじめっ子の手首を掴んで睨んでいた。


「あのさぁ」

女の子は口を開く。甘くて高い声なのに、不思議と耳に馴染むそんな声。場の雰囲気には全然合ってないんだけど。しかも可愛い声に反して顔はすごく無表情だし。


「胸糞悪い現場、目撃させないでくれる?女の子同士の喧嘩なら一対一でやりなよ、格好悪い」
「あ、あんたに何がわかんのよ!こいつさえいなければあたしは、あたしがあの人に好きになってもらえてたのに!」


いじめっ子の少女は耐えきれなくなったのか、大きな瞳から涙を流し出した。

わたしはというと急な展開について行けなさ過ぎてはてなマーク連発だ。いつの間に恋愛関係の縺れに首を突っ込んだ、わたし。


「…そりゃ男の方も災難だね。こんな根暗っぽい女の子選んで、自分を好きでいてくれる可愛い女の子を放っておくなんて」
「あんたに、何がわかんのよ…っ。あたしだって、こんな子に負けたくなかったのよ!でも、あたしじゃダメだって。だから、この子を…!」


声を上げて泣き出す彼女を見つめる。だって何を言っているのか訳がわからないんだもの。くだんない恋愛関係の縺れでわたしはいじめられてたの?なんて声に出したところでまた暴力を振るわれるだけだし。


「見る目ないんじゃない?あなたも、好きな人も。あなたほど行動力があって、可愛い人ならもっといい人見つかるかもだし?いじめなんてくだんない手段使ってないで、その分自分磨きに時間使ったほうがよーっぽど、有意義だと思うな」

こてん、と首をかしげる女の子は文句なしに可愛い。さらりと揺れるハニーブラウンの髪が更に可愛らしさを引き出している。

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