にっこり笑って(千鶴と黛)


「黛さんはもうバスケ部に帰って来る気は無いのですか?」
「ないな。ただ主将様は毎回毎回勧誘に来るけど」
「あら、嫌そうな顔ですね。…普通の人ならあの赤司さん直々にお声を掛けて頂いたらホイホイついて行きたくなるものですけど」
「そこまでチートなのか、あいつは…」
「そうではなく、カリスマ性というものですよ。無条件について行きたくなる。それを素でやってしまうのが赤司征十郎という男なのです」


けっと、黛さんは舌打ちをして伸びをする。チートだ、金持ちめ、二次元に帰れ、などブツブツ言っている様子を見れば本当にバスケ部に戻りたくないようです。


「洛山では普通のプレーヤーレベルでは生き残れません。黛さんは普通以下のプレーヤーですけど赤司さんのお眼鏡に叶ったお陰で、レギュラーとして再入部出来るんですよ?本来ならかなり美味しい条件ですね」
「…強豪洛山のレギュラーとなっちゃぁ、進学にも有利だろうな。でもな、俺は俺が大好きだ。自分のスタイルじゃなく誰かの模造品になってまでバスケがしたいわけじゃない。二年間一緒にいたお前ならわかってるだろう?」


確信的な目に少しだけ笑顔を崩した。あぁ、黛さんは本当に頭がいいから好きですね。


「ふふっ、ごめんなさい。ただの八つ当たりに来たって、いつ気が付きました?」
「お前が俺の側に来た時から」
「早いですねぇ。迷惑、でしたか?」
「お前は唯一三次元で可愛いと思う女だ。八つ当たりぐらい、あのラスボス様に比べたら可愛いもんだろ」


顔を顰めながら黛さんは言う。さらっと照れるようなことを言っている自覚はあるんでしょうか?私のポーカーフェイスも崩れてしまいそうだ。頑張るけど。


「あ、あらあら黛さん。そういう口説き文句は本当に好きな人に言うものですよ?」
「好きだが?」

ごんっと壁に頭をぶつけた。地味にどころじゃなくて痛い。勝手に赤くなる頬を自分ではコントロールできなくなる。

はくはくと口を開け、音にならない声を出す私の頭を黛さんはゆっくりと撫でた。ふんわりと花が咲いているように柔らかい顔で微笑む黛さんはまぁ、イケメンさんですね。

ちくしょう、と考えて私は実行する。やられっぱなしじゃないんですよ?



私もあなたが嫌いじゃないです

(なんて、あまぁい声で囁くの)
(さぁ、落とされるのはどっちなのかしら?)


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