にっこり笑って(千鶴と黛)


お前はラノベのヒロインみたいだ、と彼は読み取りにくい表情で言い放った。


「あ、あの黛さん??私にそんな要素ありますか??というよりなぜ急にそのようなお話を…??」
「特に意味はないが。お前がラノベヒロインの意味をきちんと理解していることにオレは驚きだ」
「私だってその程度嗜みますよ…。誤魔化そうたってそうはいきませんよ。黛さんの今読んでいる小説は理解し難いですが」
「あの赤司も読んだぞ」
「あら?彼にそういったジャンルの小説を嗜む趣味はなかったはずですよ?彼はもっとこう、純文学や小難しい論文を好んでいたはずです」
「勧誘に来た時に勝手に読んでバカにしやがった」


無表情ながら黛さんは以外にもわかりやすいと思う。少なくとも彼のオリジナルである黒子さんのほうが私としてはわかりにくかった。


むーっと口を尖らせた黛さんを見てくすりと笑うとさらに不機嫌な様子を隠しもしなくなった。


「ふふ、っ。ごめんなさい、あまりにも黛さんが可愛らしくて…」
「高校三年生に可愛らしい、か…」
「もう、そんなむくれた顔しているともっと可愛らしくなりますよ??」
「…うるさい」


ふふふっ、とまた私は隠すことなく笑った。

赤司の長男が洛山に入学して少し経ったのだけれど、心労が絶えない。ハイパーチートな厨二病末期者は、あらゆる意味で救えない。マネージャーとして入っていたバスケ部を何度退部してやろうと思ったことか…。
同じマネージャーたちは赤司さんの見目に騙されず、私について来てくれるけれど。それだけじゃ癒しが足りないの。

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